ドイツの2016年度の難民統計をご紹介します。
まずは新規入国者ですが、バルカンルートが閉鎖されてしまったことで、難民たちが危険を冒して地中海を渡っても、ギリシャやイタリアの【ホットスポット】に留め置かれてしまうため、ドイツまで到達した難民の数は去年の約89万人から28万人に激減しました。
一方、連邦移民難民局の体制が整ったこともあって、正式な難民申請数は745,545件となり、去年より268,869件の増加となりました。また、審査終了件数も去年の約1.5倍の695,733件でした。
出身国別に申請件数を見ると次の表のようになります:
難民申請(初回および継続申請) | 変化 | ||||
---|---|---|---|---|---|
2015 | 2016 | % | 絶対数 | ||
合計 | 476,649 | 745,545 | 56.4 | 268,896 | |
1. | シリア | 162,510 | 268,866 | 65.4 | 106,356 |
2. | アフガニスタン | 31,902 | 127,892 | 300.9 | 95,990 |
3. | イラク | 31,379 | 97,162 | 209.6 | 65,783 |
4. | イラン | 5,732 | 26,872 | 368.8 | 21,140 |
5. | エリトリア | 10,990 | 19,103 | 73.8 | 8,113 |
6. | アルバニア | 54,762 | 17,236 | -68.5 | -37,526 |
7. | パキスタン | 8,472 | 15,528 | 83.3 | 7,056 |
8. | 不明* | 12,166 | 14,922 | 22.7 | 2,756 |
9. | ナイジェリア | 5,302 | 12,916 | 143.6 | 7,614 |
10. | ロシア | 6,200 | 12,234 | 97.3 | 6,034 |
審査終了した695,733件のうち、36.8%(256,136人)がジュネーブ条約に基づいて難民認定されました。認定率が最も高かったのはエリトリア出身者で、75.2%でした。次に認定率が高かったのはシリア出身者で、56.5%。エリトリア出身者に比べると大分低い認定率です。基本的に「シリア全体が内戦状態なわけではない」という見方が適用され、具体的にシリアのどこから来たかによって難民認定されるかどうかが左右されるようです。
参照記事:
ドイツ連邦内務省プレスリリース、2017年1月11日、"280.000 Asylsuchende im Jahr 2016"