WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『怖い絵』(著者:中野 京子)

2014-11-09 16:04:53 | 本と雑誌
怖い絵  (角川文庫)怖い絵 (角川文庫)
価格:¥ 734(税込)
発売日:2013-07-25


絵が好きである。去年はリヒテンシュタインの膨大なコレクションを収めた美しいプログラムを何度も見ながら、ルーベンス展、ラファエロ展、パリでルーブル、ドラクロワ美術館、ケ・ブランリで心ゆくまで豊かな時間を過ごした。オランジュリーは長蛇の列について2時間待つひまがなく、一番行きたかったモロー美術館は改装休館中で、オルセーでは底冷えのする朝、入口に着いた途端ストで閉館になってしまったため、もういちどパリに行って出直しだが、ついでにまたルーブルにも行きたい。



日本では、絵を見に行くのか人を見に来たのかわからないくらい、ひとつ見るにも黒山の人だかりで喧噪この上ないけれど、ルーブルは歴史的に有名な芸術品が当たり前のようにひっそりと、絶妙なバランスをおいて、果てしなく展示されている。芸術が生活のなかに溶け込んでいるという意味がようやく分かる。雨上がりの朝、静かに呼吸しているフェルメールやカラヴァッジョ、ティツィアーノの絵にため息をつきながらドゥノン翼をまわると、数百年前につくられたステンドグラスに太陽の光が差し込んできて、それはそれは美しい。



ラ・トゥール「いかさま師」ゴッホ「自画像」など有名なものから、私も初めて知ったクノップフ「見捨てられた街」(銀河鉄道999に出てきそう)ホルバイン「ヘンリー8世」(映画「ブーリン家の姉妹」で世の女性たちから顰蹙をかった、エリザベス1世の父親)など22点。血まみれのスプラッター系のみならず、時代背景や心理描写の解説をきくとゾクゾク背中が寒くなる怖い絵が満載。