WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『(日本人)』(著者:橘 玲)

2016-01-03 18:34:50 | 本と雑誌

 

昨年はずっと、期限が決まっている目の前のことをはしから片付けてゆくのに精一杯だったが、年末の休みに入って久しぶりにリラックスして熟睡し、落ち着き、心にいろんなものを容れたいと思うゆとりが出てきた。たとえばスクリーンで映画をみたいとか、読んだことのない作家のものを読んでみようとか。休暇の最終日の今日は早起きしてラージサイズのコーヒーを買い、「スター・ウォーズ」へ。朝イチのため私の席の列はすべて貸し切り状態、かぶりつきで最新作を堪能。

自分はワーカホリックだと今更気が付き、ウィークデイは絶えず仕事のこと、新しいアイディア、どうすればもっと良い結果が出るかを考えているせいで、最近読む本はミステリとか、なるべく難しくなく読み流せるものが多かった。これはいけないと、休暇前に知人の推奨を聞いて買い込んだうちの一冊。タイトルのカッコは、日本人をいったんカッコの中に入れて、俯瞰して新しい角度から自分たちを論じてみようという意味。

江戸時代から都市への人口流入が続き、地縁や血縁が薄くなった結果、自分がいる近くの場所や組織の秩序に組み込まれた日本人は、単一民族のためグローバル化( それがもたらす価値観の多様化)もできず、太平洋戦争終結と同時にそれまでの社会フレームが崩壊すると、自分らしさを唯一のよりどころにせざるをえなくなった 。自己探求とは、終わりのない不安を絶えず抱えながら続く旅のようなもので、年をおうごとに増える日本の自殺発生率やうつ病の発症率の高さはそれに起因している。新しい論点で久しぶりにおもしろかった。