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誉田哲也『疾風ガール』

2008-08-26 15:53:03 | ノンジャンル
 一昨日の北京オリンピック閉会式。福原愛選手は空から舞い落ちる紙を手ですくうことができずに笑いころげていました。どこまでも愛らしい福原選手でした。

 さて、誉田哲也さんが'05年の9月に出した「疾風ガール」を読みました。
 元ベーシストで現在はグラビアアイドルの事務所に勤める佑司は、バンドの天才ギタリストの少女夏美に魅せられ、スカウトしようと名刺を渡しますが断られますが、その夜夏美の付き人の真緒から夏美のスケジュールを教えられます。
 佑司が夏美のバイト先のスタジオにいる時、警官がやってきて、ボーカルの美青年の薫が首を切って自殺し彼が偽名を使っていたことを告げます。夏美はショックで自宅に籠ってしまいます。
 夏美は薫が長者盛という酒を見つめていたことを思い出し、その酒を手がかりに越後湯沢へ佑司に運転させて向かいます。
 いろんな場所を辿って、結局薫の実家のある越後湯沢に戻ってくると、薫と同棲していた塔子と出会います。3人で薫の実家を訪ねると、薫の父は薫が母と姉の交通事故死に責任を感じ、姉の遺志を継いでミュージシャンになるために上京していたことを知ります。帰京し塔子の部屋に戻り、薫の持っていたバタフライナイフを塔子が預かっていることを聞くと、夏美は外へ駆け出していきます。
 夏美は真緒を呼び出して、以前に渡したバタフライナイフをどうしたか聞くと、真緒は薫を呼び出して、夏美の音楽のために身を引いてくれとナイフで脅し、薫には音楽的才能がないと言った話をします。夏美は悩んだ末、バンドのヴォーカルを自分が兼ねることによって活動を再開することにします。
 薫の追悼公演として開かれた復活ライブで、夏美はこのバンドでやるのは今回が最後だが、これからも頂点目指してやっていくので見ていてほしいと言います。公演後、佑司の上司と専属契約の約束をした夏美は、薫も応援してくれているのを感じるのでした。

 夏美の男の子っぽい台詞と心の動きが、後の「武士道シックスティーン」「セブンティーン」の磯山を思わせて、今後の著者の方向性を暗示していると思いました。ただ、途中から薫の自殺の原因を探る推理小説の趣きを見せますが、結局推測の域を出ず、最後は夏美の決意表明で終わるあたりが、物足りなさを感じました。「武士道」シリーズを先に読んだ人には物足りなさを感じると思いますが、水準以上の面白さではあると思います。青春小説、音楽小説(?)が好きな方にはオススメです。

北京オリンピックの閉会式

2008-08-25 19:02:02 | ノンジャンル
 北京オリンピックの閉会式を見ました。開会式がすごかったので、その延長として見た感じです。
 まず、青山祐子アナのタメ口実況がすごく居心地が悪く、チャンネルを変えたくなりました。おそらくディレクターの指示に従ったのでしょうが、「これはすごい!」「あっ、動き出した!」と連発されるとさすがに聞いてる方はシラケます。見ているものが既にすごいのですから、実況に徹してもらいたいと思いました。また、いちいちマスゲームの意味を言うのも止めてもらいたかったです。見てれば分かるのだし、分からないのなら、分からないなりに見るのが正しい見方なのではないでしょうか? 美術館でいちいち解説を読みながら一つ一つ丹念に見ていく人の姿勢と重なるものを感じました。
 そして開幕式に続く口パク。おそらくイギリス人によるロンドンのシーン以外はすべて口パクでしょう。花火もCGじゃないか、と疑いながら見てしまいました。
 そして大会期間中、アナウンスが先ずフランス語でなされた疑問に対して、ヒントが見えました。というのは、現在の国際オリンピック委員会の会長がフランス人なのですね。それ以外の理由は見つかりませんでした。
 そして何といっても目についたのは、開会式でもそうでしたが、これでもかこれでもかと繰り出されるマスゲームです。イギリス人の演出が、レッド・ツェッペリンのギタリストやベッカムが登場し、「個」を前面に出したものであるのに対して、中国人の演出(ペキン在住の日本人の演出を含む)では個が見えず、ひとりひとりの動きは全体に奉仕するものとして初めて意味を成すものでした。こうしたところにも、中国の全体主義が如実に現れていると思いました。
 また、大量に打ち上げられる花火などを見ていると、このオリンピックはどれだけの温暖化ガスを排出したのだろうと思わずにはいられませんでした。幸い、次回のロンドンオリンピックはなるべく経済的なもの、必要最小限のものを目指すということなので、期待したいと思います。
 ということで、いろんなことが見えた北京オリンピックの閉会式でした。

高野秀行『辺境の旅はゾウにかぎる』

2008-08-24 15:31:01 | ノンジャンル
 北京オリンピックももう終わろうとしていますが、今回日本選手がメダルを取っての第一声が「~に感謝します」という言葉から始まっているのが目立ちました。これこそ日本の美徳なのではないでしょうか。とてもすがすがしい気持ちになりました。日本選手の方たち、ありがとうございました!

 さて、高野秀行さんの最新刊「辺境の旅はゾウにかぎる」を読みました。
 まず、ミャンマーに関する文章が続きます。首都がヤンゴンからいきなり田舎町のネピドーへ移った話、アヘン地帯からの脱出の話、トラブル続きだった、テレビクルーとのビルマロードからの帰り道の話、乗り物としてのゾウの話、野性のヤマアラシとコタケネズミとゾウの話、雨季と乾季の話、民間人が皆着ているロンジー(腰巻き)の話、酒の話、世界一の産出量を誇るルビーとヒスイの話、ミャンマー人は金(きん)が好きだという話です。それにタイでの占い詐欺の話がおまけでついています。
 次に対談。角田光代、井原美紀、内澤旬子、船戸与一、大槻ケンヂ各氏が対談相手です。対談の間には、ゾウを使役する言葉が東南アジアで共通であるなどのエッセイが書かれています。
 最後に著者の推薦本。旅に持っていく本としては、「志ん朝の落語1」、曲亭馬琴「南総里見八犬伝(一)」、五味康祐「秘剣・柳生連也斉」、椎名誠「武装島田倉庫」「水域」が、エンタメ・ノンフとしては、登賢「ゴールデン・トライアングル秘史」、服部文祥「サバイバル登山家」、高野潤「アマゾン源流生活」、ケリー・テイラー=ルイス「シャクルトンに消された男たち」、ミルダ・ドリューケ「海の漂泊民族バジャウ」、イザベラ・バード「日本奥地紀行」、中島京子「均ちゃんの失踪」、奥圭三「例えばイランという国 8人のイランの人々との出会い」、宮本常一「忘れられた日本人」、青山潤「アフリカにょろり旅」、高橋秀美「素晴らしきラジオ体操」、宮田珠己「不思議な盆栽ホンノンボ」、内澤旬子「世界屠畜紀行」、島津法樹「魔境アジアお宝探索記」、牛山隆信「秘境駅に行こう!」、石丸元章「KAMIKAZE神風」、ウ・フラ「ビルマ商人の日本訪問記」、佐藤健寿「X51,ORG THE ODYSSEY」、太田牛一「信長公記」、船戸与一「金門島流離潭」、西木正明「流木」が紹介されています。中でも中島京子さん、高橋秀美さん、宮田珠己さん、内澤旬子さんは絶賛されていました。今著者がはまっているのはナカキョーこと中島京子さん、エンタメ・ノンフの代表格は宮田珠己さん、横綱は高橋秀美さんなのだそうです。またここで、エンタメ・ノンフの名付け親が高野さんであることも知りました。
 対談では内澤旬子さん、大槻ケンヂさんとのものが面白いものでした。内澤さんとは多数派からからはじき飛ばされた境遇を相憐れみ、大槻さんとはマンセームーノー人間(慢性的に雑誌「ムー」に取り憑かれた脳を持つ者。慢性的に無能とも解される)について熱く語っています。
 紹介されている本に関しては、どれも面白そうで、今後半年はこれらの本で楽しく暮らせそうです。エンタメ・ノンフィクション・ファンの方には文句無しにオススメです。

誉田哲也他『七つの黒い夢』

2008-08-23 16:03:09 | ノンジャンル
 21日発行のフリーペーパー「R25」に、縁日の金魚を長生きさせる方法が載っていました。1、5日に1回は水の半分くらいを交換、2、最初だけ0.5%の塩水にする、3、以前から飼っている金魚と一緒にしない、4、飼い始めの3日や水替えの前後は餌をやらない、5、水替えをしても水温変化は1度以内にする、などです。ちゃんと育てると15年も生き、20cmにもなるとのこと。金魚の命を大切に!

 さて、違った作者による7編の短編からなる、'06年に刊行された「七つの黒い夢」を読みました。
 乙一「この子の絵は未完成」は、幼い息子が描いた絵が描いたものの匂いを発してしまうことに、息子が非常識だと叱る母親は、絵を描くことを息子に禁じますが、登園拒否の友達に息子が幼稚園の絵を描いてあげることによって、友達が幼稚園に通えるようになるという話。
 恩田陸「赤い毬」は、母方の祖母の家で、少女姿の既に亡くなっていた祖母に出会い、赤い毬をつきあった思い出を語る話。
 北村薫「百物語」は、サークルの後輩の女子大生を自分の部屋に泊めた男は、朝まで寝ないと言う後輩に付き合うため、交互に怖い話をして、話が終わる度に室内の照明を一つずつ消す「百物語」をすることにしますが、最後に後輩が、熟睡すると体があるものに変ずる女の話をして、部屋が暗闇に包まれると、後輩は熟睡してしまい、闇の中で何物かに変わっていくという話。
 誉田哲也「天使のレシート」は、将来科学者となって宇宙のバランスを崩す物質を発見する中3の男の子を医者にするために、その男の子の妹を植物状態にするため神から遣わされた天使の話。
 西澤保彦「桟敷がたり」は、いたずら電話で、爆破された飛行機に乗せようとしていたという電話主の嘘を見破る女子大生の話。
 桜坂洋「10月はSPAMで満ちている」は、新しい勤め先で野良猫に魚肉ソーセージをやっている人間が誰かを、迷惑広告であるスパムメールを防ぐフィルターの知識で推理する同僚の女性の話。
 岩井志麻子「哭く姉と嘲う弟」は、姉が3つの不思議な恋の話をしてくれたことを姉に弟が思い出させますが、二人は実は姉弟ではなく、寝たきりの老人と、その元に戻ってきた妻であったという話、です。
 誉田哲也さんの短編を読みたくて買った本でしたが、取り上げて面白い短編はありませんでした。ただ、乙一さんの文体が面白いと思いましたし、また、今回初めて読む岩井志麻子さん(この人はメディアでの露出が多い方なので、名前と顔は知っていました)の文体がとても古めかしいことを知りました。個人的には桜坂さんの作品の事務の女性、誉田さんの短編の天使のキャラクターが面白かったと思います。ちょっとした暇つぶしにはオススメかもしれません。

パブリックコメントって何?

2008-08-22 18:32:25 | ノンジャンル
 昨日のオリンピック、女子ソフトボール決勝。準決勝のようなことがあったので、最後まで力を抜けなかったのですが、見事優勝。厚木商業も全国区になりました。優勝が決まって、前監督の宇津木さんが号泣していたのが印象的でした。

 さて、21日発行のフリーペーパー「R25」で、パブリックコメントに関する記事が載っていました。
 パブリックコメントとは、国や自治体が政策の立案等を行なおうとする際、その最終段階の案を国民に公表し、広く意見や情報を提出してもらう機会を作ろうと設けられたもので、1999年に閣議決定し、'06年4月施行の改正行政手続法では、中央省庁が法令を作る際の手続きとして原則化されたのだそうです。
 ところが、先日公表された内閣府の調査(4164人回答)によれば、この「パブリックコメント」について、制度を「知らない」人が88%にのぼることがわかり、「知っていて意見投稿したことがある」人はわずか1%でした。そして、昨年1年間で消費者に利害関係のあるテーマのパブリックコメントのうち、55%には意見がまったく寄せられなかったとのことです。
 なぜこれほどに国民の参加が得られなかったのか考えると、まず国や自治体の宣伝不足が挙げられます。新聞でもほとんど取り上げられなかったのではないでしょうか? 少なくとも制度発足当時には、テレビCMでも打つべきだったと思います。
 それに加えて、法令の内容の難解さがあります。例えば、8月6日に電子政府(これも初めて聞きました)の総合窓口ホームページに意見募集されていた主な案件を書きますと、先ず「前払式証票の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令の公表について」、それから「『海上における船舶のための共通通信システムの在り方及び普及促進に関する検討会』中間とりまとめ(案)に対する意見募集」、また「電子政府奨励暗号リストの改訂に関する骨子(案)に対する意見募集」「農林漁業有機物質資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する基本方針案についての意見・情報の募集について」、「平成20年法改正後の在外者等の審判請求期間の取扱い(案)に対する意見募集について」などです。これを読んで法令の内容を知りたいと思い、意見を書く人がいるとは到底思えません。もしいたとしたら、その法令によって直接の利害が生じる人だけでしょう。もし、本当に国民の広い意見を聞きたいというなら、法律の内容が一目で分かるように、そして平易な表現で書くように、法令の名前を根本的に変える必要があるでしょう。
 しかし、ほとんど宣伝もせずに制度が出発していることから考えて、どうも国も自治体も本気でこの制度を活性化させる気がないのではないか、と思ってしまいます。制度だけ作っておいて、それを口実にして自分たちのやりたいことを進めていきたいというのが、国や自治体の本音なのではないでしょうか? また国や自治体の国民を馬鹿にした政策を見たような気がしました。