高野秀行『世界のシワに夢を見ろ！』

　高野秀行さんが'05年に出した「世界のシワに夢を見ろ！」を読みました。世界の辺境と思われる土地を訪ねた時のエピソード集です。
　21才の時の初デートで早稲田大学の探検部の経験を生かし真っ暗のやっと通れるような洞窟に行った話、エチオピアの女性は豆を煎るところからコーヒーを入れられないと一人前と認められないという話、鹿児島の桜島の火山灰がすごいという話、インドで耳だけ蚊避け薬を塗らなかったので耳だけ蚊に刺されまくり耳の大きさが２倍になった話、タイで長髪の美しい商売女性を家に連れていったらお婆さんだったという話、コンゴのジャングルで飢餓状態になりカロリーメートがご馳走になった話、イエメンでラマダン（断食）に挑戦したが昼に水が飲めないのがとんでもなくきつかった話、中国の公衆便所の汚さが半端じゃないという話、成田空港で地雷は持ち込めるのに、おもちゃの刀で引っ掛かってしまう話、ザイールの警官にお金をたかられる話、中国・貴州省のバスが、屋根に食用の犬を乗せているのでその小便が垂れてくるのとともに、乗客が車内にゲロを吐くわ大小便はするわで途轍もなく汚いという話、南ベトナムの物売りがとてもしつこいという話、パキスタンのカラチ空港の職員に嘘をつかれ金を巻き上げられた話、ルワンダの空港の航空会社の事務所で昼間っから従業員同志がセックスしていた話、コンゴでずっと巨大な蛇の巣の上とも知らずに何日も寝ていた話、早稲田のアパート住まいの時、傷んだ野菜をシンクに捨てておいたら、とんでもない数のウジが発生し、アパート中にウジが移動してしまった話、コンゴで見た唯一の巨大生物カバが人を殺すという話、風が強く霞ヶ浦で死にそうになった話、中国の昆明では世界のアスリートたちが合宿に来ているのでヒマな彼女らに逆ナンされる話、タイで妊娠しているゾウを触わらせ金をぼったくる老婆の話、田舎の無人駅に泊まっていて、以前ここで首吊りがあったと聞いて怖い思いをする話、パリでマラリアを発病したがインフルエンザと再三診断され死にそうになった話、アマゾンの源流でいきなり高地に飛行機で行き高山病となり、コカインの葉を咬むことで苦しみから解放された話、などです。
　大した話ではないものもありますが、知らなかったことを教えられる話もあり楽しめました。高野さんがフリーライターだけに筆致で笑わせてくれるものが多かったように思います。ノンフィクション好きの人、暇つぶしになる本をお探しの人にはオススメです。