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オーソン・ウェルズ『市民ケーン』&『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』他

2016-09-18 06:29:00 | ノンジャンル
 オーソン・ウェルズ監督・製作・共同脚本、グレッグ・トーランド撮影、バーナード・ハーマン音楽の’41年作品『市民ケーン』を数度目かに見ました。1つ1つのショットが絵画のような完璧な画面構成で、シルエットをうまく使っている照明、演出も素晴らしく、何度見ても飽きない映画でした。役者では相手役のジョゼフ・コットン、母役のアグネス・ムーアヘッド、片腕役で目がギョロリとしたエヴェレット・スローンらが皆映画初出演だったことを記しておきたいと思います。
 また、オーソン・ウェルズ監督、ウィリアム・シェークスピア原作の’65年『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』もWOWOWシネマで再見しました。シルエットの巨木のはるかかなたに小さい人が見える最初の画面から傑作の予感はしていたのですが、見事に予感は当たったと思います。特に仰角の画面に素晴らしいものが多く、縦の構図の多用、例えば、フォルスタッフが財布を盗まれたことに気づいた後の一連のショットの連なりなどは、目がくらむようなものでした。ヘンリー3世の若き皇太子を無軌道な道に導く、老人の白髪のヒゲだらけのジョン・フォルスタッフをウェルズ本人が、その情婦をジャンヌ・モローが、ヘンリー3世をシェークスピア役者で名高いジョン・ギールグッドが、ヘンリー3世の反逆軍の大将をフェルナンド・レイが演じていました。
 また、朝日新聞で山根貞男氏が推薦していた、森淳一監督・脚本の’14年作品『リトル・フォレスト  夏・秋』をWOWOWシネマで見ました。小森という山間の村、その一軒家に住む娘が作る料理がその食材を採るところから主人公の独白で説明されている映画で、『夏』編の“1st dish”ではパン、“2nd dish”では甘酒、“3rd dish”ではグミのジャム、“4th dish”ではウスターソース、“5th dish”では水トロロ、“6th dish”ではイワナ、“7th dish”では自家製ホールトマト、『秋』編の“1st dish”ではアケビの実、“2nd dish”ではくるみ御飯、“3rd dish”ではイワナの南蛮漬け、“4th dish”では栗のシブ皮煮、“5th dish ”ではサツマイモの干しイモ、里芋の保存法、“6th dish”では合鴨のソテー、“7th dish”では人参のシチューとほうれん草のソテーの作り方が紹介され、その合間に自然のイメージショット、田んぼでのコメ作り、母との回想、日々の生活の様子、分校の2年後輩のユウタが町に出たが、「薄っぺらで空疎な言葉を話す町の人間に耐えられなくて、帰って来た」と中身のある生き方を捜しに小森に戻って来たのに対し、自分は町で男の人と暮らしていたが、逃げて帰ってきたことなどが語られます。自然のイメージショットは美しく、生き物を捕らえたショット、料理を作るショットを真上からの俯瞰で捕らえたショットなど、見どころはあったと思います。
 また、ロン・ハワード監督・共同製作・共同原案の’92年作品『遥かなる大地へ』もWOWOWシネマで見ました。“西アイルランド1892年 数世代の搾取と貧困にあえぐ小作農民は不当な小作料や立ち退き命令に苦しみ、ついに裕福な地主に反抗を始めた”という字幕で始まるこの映画は、地主に父を殺されたと思い込み、復讐のために地主に屋敷に忍び込み、発見され、囚われの身となった小作農民ジョセフ(トム・クルーズ)と、古い因習に反抗する、地主の活発な娘シャノン(ニコル・キッドマン)が、シャノンの手に入れた「合衆国に住む健康な男女に160エーカーの土地を無償で与える」というチラシを信じて、アメリカに渡り、その移民街でジョセフは一旦はボクサーとして認められるも、シャノンを市会議員から守るために、そこから追放され、別れ別れになり、その後、オクラホマ開拓地で再会し、“1893年9月16日”に行われたスタンピードで土地を手に入れ、シャノンはアイルランドからやって来ていた婚約者と手を切るという物語で、ゆっくりとした引きの画面が印象的でした。
 また、ジェイムズ・キャメロン監督・脚本・共同製作・共同編集の’09年作品『アバター』も遅ればせながらWOWOWシネマでみました。貴重な金属の鉱脈のある惑星を手に入れるため、そこで自然とともに暮らすナヴィ人を抹殺せんとする民間人と大佐、そしてナヴィ人と地球人のDNAを融合させた結果、地球人がポッドの中で眠っている間だけ、ナヴィ人の外観で人間の意識を持てるアバターとなってナヴィ人の中に入り、彼らのことを調べる命令を大佐から受けた、元海兵隊員で今では下半身不随になっているジェイク(これが主人公)、そして自らもアバターとなりナヴィ人との関係を構築しようと努力しているグレース(シガニー・ウィーヴァー)が冒頭で登場し、ジェイクはナヴィ人の娘と恋に落ち、最後には大佐と一騎打ちになって惑星を地球人から守る(『ターミネーター』を想起させる)という話なのですが、惑星の動植物の造形、自由に動き回るカメラ、見事なCGによる効果など、見どころ満点でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/