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クリント・イーストウッド監督『ジャージー・ボーイズ』その4

2015-10-11 06:20:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 ジップ「ニック、話をありがとう。ノーマンと私は外で相談してくる。お前たちもよく話し合え。そう、(トミーに)浴室は使うな」。ジップとノーマン、去る。フランキー「ジップが説得してくれる」トミー「説得なんか、期待しねえ。俺には金儲けの策がある」ニック「昔のような酒屋強盗か?」トミー「黙って酒飲んでろ!リーダーは俺だ。ジップの助けを乞うて恥かかせやがって」「自業自得だ」「俺は業界の先輩だ。敬意を払え」「莫大な借金を作ってか?」「グループをやってくのが簡単とでも言うのか?」フランキー「座れ」「分かった。俺を責めて吊し上げるってか?」「そうとも。お前は“グループは二の次”。いつも自分勝手にやってきた。ニックに飲ませ、ボブを冷遇。俺を支配しようとしてきた」「バカ言え」「一度でいい。黙って聞け。お前の何が悔しいと思う? 音楽のために努力しないことだ。相手を言い負かすか、女を囲う部屋を買うだけ。だがここまでだ。デタラメは終わりだ」「ダチに言うことか?」「“ダチ”ね。クリスマスの贈り物1つ、カード1枚、くれたか? メシに行っても払いは俺。子供は元気かと訊いたことあるか? こんな考えは罪だが、お前が憎い」。トミー、フランキーの胸倉つかむ。「やめろ、トミー!」。ジップら、帰ってくる。ジップ「小学生か? やるなら外でやれ。話がまとまった」フランキー「ジップ、すまない。俺たちは決めた」「いつ?」「皆でトミーの借金を返す。たかが十数万だ。苦労して成功した。借金も引き受ける」ニック「奴の借金だ。なぜ皆で返す?」「グループのためだ」ボブ「どうだ、トミー?」「なぜ訊く?」「君は彼の歌はおろか、すべてにケチをつけてきた。その彼が君を救おうと言ってる。満足か?」ジップ「話はそう簡単じゃない。連中は怒ってる。見せしめが要る」ノーマン「(トミーに)君はラスベガスに移れ。君の“健康”を見張るためだ。もし州外に出たら、覚悟しろ」「ネバダ州? 殺された方がましだ」「君が選べ」「いつまでだ?」「完済するまで」「ツアーの最中だ」ジップ「最善を尽くした」「グループは?」「取り分は同じ」「契約書通り、俺にも25%。文句あるか?」ボブ「トミーの権利を買う」「俺を追い出すってか? 逆に俺がお前を買う」「金もないのに?」「分かった。追い出せ。どうせ終わりだ。あと何曲書ける?」フランキー「待てよ。他にも借金があるのか?」「グループの口座からな」「いくらだ?」「50万か、それぐらいだ」ジップ「ふーう」ノーマンも驚く。ボブ、フランキーにうなずく。フランキー「それも返す」。何か言いだそうとするニックにフランキー「黙ってくれ! 借金は全部、皆で返す」ジップ「よし。決まりだ。ノーマン、トミー、外してくれ」トミー「フランキー、俺が憎いか?」。トミーとノーマン、去る。ジップ「フランキー、100万近い無用な借金を背負うのか?」「トミーはおれを拾ってくれた。安いもんだ」「90歳までツアーだ。ローンを組んでやろう」ボブ「有難いですが、僕と彼、2人で何とかします」ニック「一つ思いついた。俺、グループを抜けるよ」ジップ「どこへ行く?」「故郷です」フランキー「ツアー後に休養を」「今だ。俺は抜ける」ボブ「ダメだ」ニック「俺の存在に気づいたか?」ボブ「ニック、今はツアー中だ」「前からツアーは嫌いだった。ホテル暮らし、小さな石鹸、あれでよく洗えるな」フランキー「落ち着いて話し合おう」「もう決めたんだ。面倒はかけない。金も裏取引も要らない。脱退だけだ」ジップ「待てよ、ニック」。ニック、去る。ボブ「ツアーの最中だ。正気か?」。
 外に出たニックを追って、ジップ「ニック、待てよ。今までヒットも飛ばし、頑張ってきたんだ。辞めるなんてどうかしてるぞ」「妻とモメて子供たちをどうしたと? 俺の実家に預けた。しかも自分の子供に俺はおじさんだと嘘をついた」「なぜ?」「好き勝手をするためだ。父親のいない寂しさを味あわせなくて済む」。ニック、車に乗り込む。ジップ「何てことだ」「たとえあなたでも、100万枚を売った男は非難できない」「フランキーとボブはショックだ」「心配ない。彼らは天才だ。俺の不在にも気づかないさ」。ニック、車を出す。見送るジップ。
 喫茶店。フランキー「ソロでやれと? 本気か?」ボブ「コーラスの候補なら大勢いる。新しく2人入れよう。ドラムスにホーン・セクションも。ベイシー楽団のように」「君は?」「作曲を」「ダメだ。握手の契約はどうした?」「まだある」「夜中に目が覚めて、不安になる。皆去ってしまったと。なぜこうなった?」「フランキー、君の時代だ」「コツは何だ? また俺を説得した」「俺の才能だ」。ボブの差し出した手にフランキーは握手する。(また明日へ続きます……)

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