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ニューヨーク旅その3『国際写真センター、そしてエリズ島』

2009-02-02 16:04:59 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の朝刊に、第30回ヨコハマ映画祭の主演女優賞に、「接吻」に主演した小池栄子さんが選ばれたという記事が載っていました。「接吻」?ということで、調べてみると、やっぱり万田邦敏監督の映画でした。私は立教大学の学生だったころから万田さんのファンで、万田さんの仲間だった黒沢清さんや塩田明彦さんがメジャーになっていくのを見ながら、「万田さんはどうしたんだろう?」とずっと待ち続けていました。その思いがやっと叶えられた気持ちがして、とても嬉しいです。「接吻」、これから見るのが楽しみです!

 さて、昨日の続きです。2日目はセントラルパーク南端にあるホテルから、南への旅でした。先ず向かったのは、世界で最初の報道写真家ロバート・キャパ、その弟のコーネル・キャパが設立した国際写真センターでした。ロバート・キャパのような鮮烈な写真を期待していたのですが、常設展示は芸術写真ばかり。ところが、地下の特別展示ではEdward Steichen という'30年代の肖像写真家の作品が特集されていて、そこで'30年のゲイリー・クーパー、何と'31年のやさしい視線でかわいらしいジョーン・ベネット、'28年のグレタ・ガルボ、'29年の強烈な魅力に満ちたシルヴィア・シドニー、'31年の、海岸でバカンスを楽しむダグラス・フェアバンクスとジョーン・クロフォード夫妻、'31年のスタンバーグ、'34年の頑固そうなユージン・オニール、'29年のコンラッド・ファイト、'35年のルビッチ、'27年の、昔の将校に扮したシュトロハイム、'29年の、優しそうな叔父さん然としたSteichen本人、'25年のポーラ・ネグリ、'31年のやさしい笑顔のチャップリン3枚、'33年のディズニーらに出会えました。中でも「暗黒街の弾痕」でお馴染みのシルヴィア・シドニーの写真は素晴らしく、これ1枚で入場料12ドルの元は取ったなという気持ちになれました。
 その後、林立する巨大なビル群に圧倒されながら、国連ビル、グランド・セントラル駅(駅舎だけが残ってました)、ニューヨーク公立図書館などの外観を見て、エンパイアステートビルにまた登り、フラット・アイアン・ビル、セオドア・ルーズベルトの生家、市民の憩いの場のワシントン・スクエア(ただし、冬の今は雪に覆われていて誰もいず)、ジャズクラブのブルーノートと見て行き、かなり街が寂れた感じになってきたところで、地下鉄で一気にマンハッタン島の南端へ。地下鉄を降り、幕で囲われたグランド・ゼロから、ニューヨーク最古という、ビルの谷間に立つ無気味なゴシック建築・トリニティ教会を見て、フェリーでエリズ島へ。ここには移民管理局の建物が再現され、中が移民に関する博物館となっていました。
 1階は以前は移民の荷物保管所に使われていたところで、移民の様々な統計が、工夫のこらされたグラフで分かりやすく展示されていました。そこで再認識したのは、第一次世界大戦の時に、ヨーロッパから多量の移民がアメリカに流れ込んでいるという事実です。基本的にアメリカは母国にいられなくなった人たちによってできた国なんだなあ、と改めて考えさせられました。
 2階は移民登録に関する手続きがどのように行なわれていたか、というのが写真付きで生々しく展示されていました。中でも収容されていた人たちの部屋の壁が一部展示されていたのが印象的で、何か訴えかけるような苦しみに満ちた字が無数に書き付けられていて、見ているだけで胸を掻きむしられる感じでした。
 ということで、今日はこの辺で。明日は2日目の夜のことを書きます。