gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

打海文三『ピリオド』

2009-02-21 15:31:50 | ノンジャンル
 WOWOWで、アリ・カウリスマキ監督の「街のあかり」を再見しました。スタイルこそ違いますが、ブレッソンのように悲痛な、そして静ひつな美しさを持つ画面に胸打たれました。文句無しにオススメです。

 さて、打海文三さんの'97年作品「ピリオド」を読みました。
 小さな印刷工場で働く永井万里子は、会社が倒産の危機を迎えていた夜に会社に籠城していました。そして、屋上から侵入してきて、社長夫妻と役員たち全員、そして会社の実印と重要書類の全てを奪っていった整理屋の中に、叔父の萩原ツトムがいるのを目撃します。しばらくして出会った萩原は、社長は個人債務を負っていて、しかも脳死状態に陥っているので、会社の資産はないも同然だと万里子に告げた後、爆殺されてしまいます。万里子は真相を知るため、叔父の幼馴染みで、最近まで叔父と一緒に仕事をしていた真船享を訪ね、協力を依頼します。その夜真船は、ハヤシという日本人に雇われ真船を拉致しに来た中国人を捕え、追い返すのでした。家に帰ってきた万里子は、昔真船の恋人だったこともある母に、これまでの経過を説明していると、‥‥。
 とここまで読んだところで、先に進む気力が萎えてしまいました。原因は、ストーリーの先が読めたこと(おそらく、これまでの打海作品のように、暗躍に次ぐ暗躍の結果、白兵戦のクライマックスを迎え、わずかな希望が残るエンディングを迎える)と、状況説明をするための、リアリティのない万里子と母の会話をこれ以上読む気がしなくなったことです。
 打海さんの作品を全部読もうと思ったのは、私が最初に読んだ打海さんの小説「愚者と愚者」が割に面白かったからですが、ここまで読み続けて来て、打海さんの小説の話し手が、全然泣かないことに初めて気付きました。打海さんの小説から受ける、何かしっくりこない印象の原因は、もしかしたらその辺にあるのかもしれません。どちらにしろ、今読んでいるのは「愚者と愚者」以前の作品ばかりなので、「愚者と愚者」の後に書かれた小説に辿り着くまで、もう少し頑張って読んでいこうと思います。
 ということで、打海さんの「ピリオド」、私は判断停止です。