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ガブリエル・レインジ監督『大統領暗殺』

2009-02-20 17:56:08 | ノンジャンル
 WOWOWで、ガブリエル・レインジ監督の'06年作品「大統領暗殺」を見ました。
 「この作品はフィクションであり、ホワイトハウス、米政府、シカゴ市警を含め、登場する実在の人物や組織はすべて、本作品の内容とは全く無関係である」「2007年10月19日」の字幕。シカゴのオヘア国際空港にブッシュ大統領を乗せた専用機が降り立ちます。その時の様子を語る元大統領警護主任。大統領のリムジンに同乗していた元大統領顧問の証言。反ブッシュを叫ぶデモ隊と衝突する警官隊。その時の様子を語るシカゴ市警副本部長と元ホワイトハウス担当記者。シカゴ経済クラブで演説するブッシュ。会場の出口で客たちと握手しているところを胸を撃たれ、リムジンに担ぎこまれ病院に急行するブッシュ。監視カメラの映像。テレビの速報。犯人は向かいのビルからライフルで撃ったことが語られ、次々と不当逮捕される人々。誤認逮捕された人の様子を語る元FBI鑑識捜査官。手術と医師の会見の様子。犯行に使われたライフルの発見。暗殺のニュースを聞き、犯人がイスラム教徒でありませんようにと祈るアラブ人女性。そしてブッシュの死を告げるニュース。先程のアラブ人女性の夫ジクリが暗殺犯として逮捕されたという報道。ジクリを尋問したFBIテロ対策本部のスタッフ。チェイニー新大統領は、ジクリがシリア人であることから、シリアの陰謀であることを疑い、そしてあっと言う間に、シリアが暗殺を図ったことへと世論操作されていきます。「大統領暗殺から10日後」の字幕。追悼演説をするチェイニー。「シカゴ更正センター」の字幕。そこで尋問されていたジクリは、不完全な証拠のまま起訴されます。「大統領暗殺から7ヶ月後」の字幕。ジクリはブッシュ暗殺の罪で有罪になります。戦争の悲惨さ、そして9・11の結果戦ったイラク戦争の不毛さを語る復員兵、またイラク戦争で息子を失った母。そしてその夫が、息子を奪ったブッシュに復讐するために暗殺を行い、その後自殺したことが明らかにされます。最後に「有罪判決から1年、控訴審はまだ始まっていない。ジャマール・アブ・ジクリは今も死刑囚監房にいる。」などの字幕が示され、映画は終わります。
 おそらくブッシュとチェイニーの映像と一部のニュース映像以外は全て偽の映像なのでしょう。しかし、偽のドキュメンタリー映画をでっち上げて、それを劇映画として封切るというのは、そんな方法があったか、と虚を突かれた感じです。こうした形を取れば、多くの人の目にも触れるでしょうし、資本主義社会でのプロパガンダ映画として有効なのではないか、と思いました。
 それにしてもこんな内容の映画をよく作れたものです。日本なら企画の段階で企業がつぶしにかかると思いますが、さすがにイギリス、だてに古い民主主義の歴史を持っていないなと思いました。素晴らしい出来です。文句無しにオススメです。