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深い河

2006-04-30 17:17:32 | ノンジャンル
 世界卓球団体女子、惜しかったですね。福岡が勝った時には、「よ~し、行ける!」と思ったんですが‥‥。さすがに世界の壁は厚い。でも卓球を見てこれだけ興奮したのは初めてでした。

 ところで、「さくら」「きいろいゾウ」でおなじみの西加奈子さん(このフレーズ、使い過ぎ?)推薦の遠藤周作さん「深い河」を読みました。結果からいうと、大ヒットでした!
 インドの仏跡旅行へ行くツアー。死に際の妻の言葉「必ず生まれ変わってくるから、必ず見つけてね」という言葉に今もこだわり、前世が日本人だったという少女がインドにいるというので、ツアーに参加した中年男性磯辺。大学時代に礼拝を欠かさず禁欲的に生きていた神父志望の同窓生を誘惑し、肉欲の世界にひきづりこんで捨てた、その男大津が今ガンジス河にいるとの情報を得て、彼に会いに行く美津子。戦時中ビルマでの死の行進で地獄を味わった記憶から逃れられず、仏跡をめぐって死んで行った仲間を供養しようと考えている老人木口。子供のころから動物と会話しながら育ち、生きるか死ぬかの手術を控えた時に話し相手になってくれた九官鳥に恩返ししようと、ペット用でも九官鳥の羽を切らないインドまで行き、一羽の九官鳥を自然に戻そうと思っている中年の童話作家沼田。
 これらの人物にインドの魅力に惹かれてツアーコンダクターになったという江波がからんで、時には追想を語りつつ、インドでの、というかガンジス河での日々が綴られて行きます。語り口はとても平明で読みやすく、難解な文章も出てきませんが、神父ながらガンジス河で貧民と暮らす大津の生き方がとても魅力的で、読んでいて心洗われる思いでした。また、磯辺夫妻の思い出話でも、奥さんの優しさが伝わって来て、ちょっと胸が痛くなりました。
 著者が70歳の時に書いた小説とは思えない、若々しい小説です。まだ読んでいない方、ぜひぜひオススメです。