えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

今日は猫の日

2015-02-22 08:52:44 | 歌う

             ~ 今日は猫の日 ~

 「2月22日は猫の日である」。ということを30分前に天声人語で知った。「犬びいきと猫びいき、どちらが多数なのかは判じがたい。犬文学も猫文学も内外に名作がある。だが俳句となると、私感ながら、猫に軍配があがるように思う。しぐさやたたずまいが俳句心をくすぐるのだろうか。  ▼ 叱られて目をつぶる猫春隣    ▼ 仰山に猫ゐやはるわ春灯  ともに久保田万太郎の作。

 天声人語さま 短歌だって猫の名歌がたくさんありますよ。岩波現代短歌辞典に「猫」の項目があり、荻原裕幸が 「現代の日本人にとって、猫はもっとも身近な動物である。人間といちばん生活エリアが似ているためだろう」 と次の作品を挙げて解説している。

 ▼ 毛ほどの隙もみせずに歩み去る老いの白猫がわがこころ知る  前川左美雄 

 戦後10年ほどを経た頃の作品。どこか猫との間に信頼関係のようなものが見える。

 ▼ 胡桃ほどの脳髄をともしまひるまのわが白猫に瞑想ありき  葛原妙子

 のどかな昼寝と見るひともあれば、葛原のように何か人間に感知できない世界での思索と捉える人もいる。感情らしきものが見えないため、人はそこに思い思いの推測、空想を、。

 ▼ 飼い猫をユダと名づけてその昧き平和の性を少し愛すも  塚本邦雄

 命名は任意であるがゆえに作者の心象をかなりくっきりと浮かびあがらせる要因となる。

 ▼ 飼い猫にヒトラーと名づけ愛しゐるユダヤ少年もあらむ地の果て 春日井建

 飼い猫にヒトラーと名づけ、しかも彼を愛するというのだ。常識的には掴みきれない設定であるが、ここには「悪への信仰」を美の極致とみなして、美の実現のためには、社会的な良心や論理が二次的なこととなる唯美的な精神を読み取るべきであろう。(荻原裕幸)

 ※ 荻原裕幸 昭和37年愛知県生まれ。歌人。10代より塚本邦雄に傾倒し歌誌「玲瓏」創刊に参加。歌集は『あるまじろん』 『デジタル・ビスケット』 他

 次は10年も前のわたしの猫の迷歌

  ナルシスと名づけて呼べば白猫は振り向かぬまま尻尾くねらす  松井多絵子

  


玉子か卵か

2015-02-21 09:14:06 | 歌う

              ・・・ 玉子か卵か ・・・

 玉子と卵はどう違うのか。生物学的な意味の卵と食材としての玉子、NHK放送文化研究所が 「生たまご・たまご焼き」 を漢字でどう書くのかを尋ねた調査では 「生卵」「玉子焼き」 と漢字で使い分けていたいた人が55%もいたそうである。若い世代ほど、特に女性にその傾向が強い。NHKでは、漢字で書く場合は 「卵」 に統一しているとのことだが。一般的には調理前のものは 「卵」 火が通ったものは 「玉子」と書き分けられているようだ。私
は玉子より卵のほうが好きだ。卵は愛らしく、謎があり、生きももの感じがする、

               卵 & 玉子      松井多絵子

      タクシーがイルカのようにやって来てその卵巣のあたりに座る

      卵黄の崩れたような返事なら耳よゆめゆめ聞いてはならぬ

      冷蔵庫の卵のための18の座席はつねに空席があり

      鱈になりそこねた卵たちを食む、ひたくれないの夥しい卵(らん)

      生後まもなき鶏卵われに砕かれて朝の厨に焼かれていたり

      目玉焼きの玉子の黄色が目に沁みて激しきことを云いたくなりぬ

      投げたなら卵の当たる位置にいるあのひとは今日もわれを無視する

 

        我が家の冷蔵庫の卵の座席は、本日は空席12です。

                    2月21日  松井多絵子              

                               

   ◆ ボーン・上田賞

  国際報道で優れた成果をあげた記者に贈られる今年度のボーン・上田賞は

  ✿  杉山正 (39) 朝日新聞国際報道部記者 

   2011年から昨年までアフリカ駐在。等身大の姿を伝えるため22か国を訪れた。

  

    


爆買いの人びと

2015-02-20 09:19:03 | 歌う

              ☀ 爆買いの人びと ☀

 「中華圏の旧正月春節の休暇が18日にはじまり、東京の銀座にはきのうも大勢の観光客が訪れていた」 と今朝の天声人語。 「日本に来る外国人の中で中国人の買い物代は突出している。最近の数字では1人あたり14万円近い。その行動は♦爆買い と呼ばれる」 そうである。私は5年位前までは、中国の旅を楽しんだ。国内旅行よりもかなり安いツアーもあり3泊4日の旅が多かった。何より本場の中国料理を堪能できる。でも「爆買い」の日本人もかなりいた。掛軸や書画、骨董など高価な品を気軽に買う。中国で散財した多数の日本人へのお礼のようにも思える、春節の中国人の日本での 「爆買い」は。

 中国はお隣の國なのに言葉が全く通じない。でも街には漢字の看板があふれている。日本で使われているのと少し違う漢字も多い。8年も前だが私は福建省アモイを訪れた。さらに長距離バスで♦永定土楼へ。300年以上前と思われる集合住宅、マンションである。

              アモイ&永定土楼    松井多絵子

       車窓にはニッポンになき漢字また入りきて此処はアモイ街中

       中国茶飲めば美しくなる訳を聞きおり美しい國のわれらは

       䈎に白い毛のあるこの茶を飲んだなら若返るという嘘はたのしい

       龍井茶にほろ酔いわれは飯店の円き窓より月を見ており

       見の限り棚田棚田の波の中われらの車は泳ぎ続ける

       迫り来るいにしえびとの4階の円形マンション、永定土楼

       いまは住む人なき土楼に寄りゆけば鶏二羽がわれに寄りくる

 

               またアモイ(厦門)に行きたくなりました。あの飯店に。

                            2月20日   松井多絵子

      


いま中国はお正月

2015-02-19 09:02:14 | 歌う

              ✿ いま中国はお正月 ✿

  ♦ 知らぬこと分からぬことの数多あり中国とう國、隣家の人びと   松井多絵子

 中華圏では18日から旧正月の「春節休み」。旧暦の正月を春節と呼び、新暦の正月より盛大に祝う。中国本土だけでなく、香港、台湾、シンガポールなどでも祝うらしい。春節休みの観光客がどっと日本に来てデパートやホテルが賑わっている。秋葉原の家電の店でも春節の福袋が大人気、8888円など8という数字は縁起がいいから中国人が好きだそうだ。日本人だって 8 が好きだ。88歳まで生きれば米寿のお祝い。コワイ数字でもあるが。

 京都の宇治では平等院だけでなく宇治茶の専門店も18日には春節客が押し寄せて、抹茶4缶1万円など高級抹茶が売れている。沖縄では18~22日の期間はホテルの空き室がほとんどない。春節客がプロ野球のキャンプ見物とは。北海道ニセコ町では主なホテルがぼぼ満室。ほとんどの飲食店に中国語のメ二ューがある。中国の経済成長や円安のため日本での買い物が安くなったこと、ビザの緩和によるらしい。昨年、日本を訪れた中国人は240万人。

 中国人は日本の温泉が好きらしい。時折、温泉地で中国人に会うがすぐに気が付かないことが多い。買い物をしているときの言葉で中国人かしらとおもう。外見は日本人とさほど変わらない。まして服は日本のものを着ている隣人なのだ。その隣人の話す言葉が全くわからない。わたしは漢字で「此処飯店美味」と書いたメモを渡したら笑いながら「感謝」というメモの返事。あれは2年前の夏だったか。富士山5合目でレストランを探していた3人の女たちだった。

       日本の高級品をたくさん買ってくださる中国の皆さまに 「感謝」

                        2月19日  松井多絵子

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ゆがんだ鏡

2015-02-18 09:20:28 | 歌う

                 ~ ゆがんだ鏡 ~

 「短歌とはゆがんだ鏡である」と、歌人ではない奥本大三郎。氏は大阪芸術大教授、フランス文学者、ファーブル昆虫記を翻訳、「虫の詩人の館」の館長である。NHK短歌のゲストとして、永田和宏とのミニ対談。学者二人のお話しなんてシンドイなあと思ったら、意外にも分かりやすく楽しい25分間だった。奥本大三郎の 「短歌は主観をゆがめなければ面白くない」 に私はハットする。鏡が見え隠れする歌をしばしば詠んでいる私。次の7首のなかに主観をゆがめた歌があるかしら。

                   鏡のなかの    松井多絵子

        あかときの鏡はわれをひき寄せてひき離す、鳥になれというらし

        タワービルが鏡面ビルが傾いているあの路を行かねばならぬ

        昨日(きぞ)五月、今日は六月、鏡には冬枯れのままの私がいる

        こちら向く鏡のなかの私よ今日も明日も離れていたい

        厚化粧これも偽装とおもえども鏡の中のわれは華やぐ

        窓際の鏡のなかに立つ裸体、となりの庭の葉のなき朴の

        雨の夜の鏡の奥のわたくしは太宰治のように頬杖

   2月18日

      雪になれない雨が降る昼わたしはパソコンの前で頬杖を  松井多絵子