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小説は穴を掘る作業

2015-02-25 09:10:01 | 歌う

           ●  小説は穴を掘る作業  ●

♦ 幾百か、地球に穴をあけながらスカイツリーはその根を見せぬ  松井多絵子

 第152回芥川・直木賞の贈呈式が19日、東京都内で開かれた。「九年前の祈り」で芥川賞を受けた小野正嗣さん(44)は昨年亡くなった兄の遺影とともに出席。 「間近に迫った兄の死が僕に書かせた小説です。この賞は兄に捧げます」と語った。
 『サラバ!』で直木賞の西加奈子さんは 「小説は自分の内面に穴を掘っていくような作業。選考委員の先生方の穴は私と比べものにならないくらい深くて大きくて、寒くて暗くて、すごく1人やと思います。私も大きな穴を掘っていきたいです」と受賞の言葉を。

 今朝の朝刊社会面にセピア色の写真が目立つ。穴で育っているウドの群れが幻想的だ。その穴のなかに1人立っているのはここで 「軟白ウド」を栽培している須崎雅義さん(71)である。立川市の須崎農園の地下で栽培されている春の山菜ウドの収穫が本格化している。農園では、地下3・5メートルに掘った穴倉で日光に当てずに「軟白ウド」を栽培している。穴倉は、気温20度に保たれ、1か月で80㎝程度に育つ。色が白くアクが少ないのが特徴で、2~3月が旬という。「背が高すぎず低すぎず、色が白くて肌がきれいなウドが理想」と話す須崎雅義さん、アナタが育てている ♦軟白ウドはアナタの理想の女性ですね。さぞ美味しいことでしょう。

 西加奈子はいま花盛り。直木賞の浅田次郎選考委員は、「芸術に最もなくてはならないのは個性。西さんの作品にはそれがあった」と。彼女も寒くて暗くてすごく1人の穴で長いこと暮らしていたかもしれない。金屏風の前に立つ西加奈子の白い着物がウドを思わせる。

    西加奈子さま  私は地下が好きで楽しんでいます。 

        駅ビルの地下に人工の滝があり浮かれている水、呻いている水

                       2月25日   松井多絵子