~ バレンタインの日 ~
♦ ふらんすの前衛詩人の青年の名前だろうかポリフェノールは 松井多絵子
私が娘だった頃はバレンタインデーなんてなかった。もしあったら私の人生は全く異なっていたかもしれない。今では小さなスーパーにまで、バレンタイン・チョコ・ギフト・コーナーがある。500円でもおしゃれな包装のチョコ、それにメッセージを添えてしかるべき彼に贈る、
「あなたに私を食べていただけたら、、」 なんて書いて贈ってみたかった。半世紀前に。
「チョコレートの健康効果はスゴイ」 これはお菓子の広告。「ほんまかいな」と言いたくなる。子供のころはチョコを食べすぎると鼻血が出る、娘のころはニキビができると母に注意されていた。ポリフェノールなんて言葉も知らなかった。まるでフランスの詩人の名前のような、ポリフェノールという成分がチョコにたっぷり含まれていて健康効果がスゴイという広告
① 血圧が低下する ② 善玉コレステロール値が上昇する ③ 肉体的にも活動的になる。しかも体重は増加しない オイシイお話だ。ヨーロッパでは薬としてチョコが食事にとり入れられたこともあったらしい。♦良薬口に甘し ですか。
近頃の新聞を賑わせている認知症の予防にもなる、というチョコの広告もある。私は朝と昼の食後に珈琲を飲む。砂糖を入れずチョコとナッツをつまむ。このチョコのおかげで今のところ認知症ではないのか。今日はバレンタインのギフト・チョコを買おうかしら。夫へではなく彼へ、これから現れるかもしれない幻の彼へ、ではなく私への贈り物に。
昼食後の珈琲のおつまみには今朝の残りの板チョコを。
2月2日 松井多絵子
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戦争の終らぬ理由わたくしの悪いと思へそれぞれのわれ
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みちしほの松川浦や数千の人のまぼろしみな陸を向く