えくぼ

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ゆがんだ鏡

2015-02-18 09:20:28 | 歌う

                 ~ ゆがんだ鏡 ~

 「短歌とはゆがんだ鏡である」と、歌人ではない奥本大三郎。氏は大阪芸術大教授、フランス文学者、ファーブル昆虫記を翻訳、「虫の詩人の館」の館長である。NHK短歌のゲストとして、永田和宏とのミニ対談。学者二人のお話しなんてシンドイなあと思ったら、意外にも分かりやすく楽しい25分間だった。奥本大三郎の 「短歌は主観をゆがめなければ面白くない」 に私はハットする。鏡が見え隠れする歌をしばしば詠んでいる私。次の7首のなかに主観をゆがめた歌があるかしら。

                   鏡のなかの    松井多絵子

        あかときの鏡はわれをひき寄せてひき離す、鳥になれというらし

        タワービルが鏡面ビルが傾いているあの路を行かねばならぬ

        昨日(きぞ)五月、今日は六月、鏡には冬枯れのままの私がいる

        こちら向く鏡のなかの私よ今日も明日も離れていたい

        厚化粧これも偽装とおもえども鏡の中のわれは華やぐ

        窓際の鏡のなかに立つ裸体、となりの庭の葉のなき朴の

        雨の夜の鏡の奥のわたくしは太宰治のように頬杖

   2月18日

      雪になれない雨が降る昼わたしはパソコンの前で頬杖を  松井多絵子 


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