えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

朝日歌壇あれこれ⑩

2013-01-21 20:20:57 | 歌う

             ★★ 「朝日歌壇あれこれ⑩」★★   松井多絵子

本日1月21日の朝日歌壇は☆が6個もある。投稿してから掲載されるまで3週間以上かかるから、今日の入選歌は昨年の歳晩のものであろう。新年に詠まれたものは見当たらない。歳晩の忙しいときは投稿歌は少なかったので、☆が多いのではないか。今日は私が待ちこがれていた小学生の男の子歌人が入選。☆がついている。

  永田和宏選  馬場あき子選

☆ 学芸会ぼくは脇役だけれどもぼくの母さんぼくを見ている  (東京都) 小林龍太

※永田選者の「評」で龍太くんは小学校の生徒、隣の入選歌は彼の担任の先生の歌だと知る

 ❤学芸会に端役などなし父母のビデオは君を君だけを追う (東大和市) 杜野 泉

※先生と生徒が同時に入選。おめでとうございます。

  馬場あき子選  佐佐木幸綱選

☆ 体操服も十七日間冬休みたたんでそっと寝かせてあげた  (富山市) 松田わこ

※朝日歌壇賞を受賞したばかっりの松田わこの歌。馬場あき子の「評」は下の句が実にやさしい、私も子供なりに身のまわりのモノを大切にするから、いい歌ができるのだと思います。

 朝日歌壇と俳壇の間に「短歌時評」の欄があり、歌人の加藤英彦氏が「新しさとは何だろう。
古い殻を脱いで生まれ出たつるつるの卵のような可能性」。と書いていられます。松田わこ、
小林龍太、これからも次々につるつるの卵が朝日歌壇に並びますように。
                                 小学生には甘いあまい松井多絵子


SAHARA「砂漠の思い出」

2013-01-20 20:05:27 | 歌う

              SAHARA「砂漠の思い出」SABAKU   松井多絵子

 この冬も変わりなく居間の出窓を飾っているサボテンは、チュニジアから持ち帰った二枚のサボテンが繁殖したものである。10年前、私は格安ツアーでチュニジアを一周した。あの楽しかった8日間が夢ではなかった証のようにサボテンは私のそばにいてくれる。
 サハラ砂漠の近くの道端のサボテンの親指ほどの葉を取り、ビニール袋に入れ、化粧ポーチに入れ、バッグの底に入れて日本に持ち帰った。空港でのチェックをくぐりぬけた盗品の二枚のサボテンの葉は、我が家で根づき繁殖し5つの鉢植えになったのである。大好きな国チュニジアのお隣のアルジェリアが恐ろしい国になってしまったなんて。 歌集『えくぼ』より思い出の10首をご紹介いたします。

            ★ 「足あと」 ★    松井多絵子

サングラスかければ砂漠はあの冬の東尋坊の荒海となる

ラクダの背に跨り二階のベランダの手すりに跨りゆれるがごとし

われの乗るラクダよお前は何歳か贅肉のなきこの背この首

風が来て砂が飛びかい目つむれば風のいさかう音のみとなる

まなうらよサハラ砂漠の風紋をこの線描を忘れてはならぬ

のぼりゆく最後のひとりとなり我は砂丘を見上げ空を見上げる

あえぎつつ砂丘を登りのぼるとき遠き夕日に見られていたり

どうしたらいいのだろうというような砂丘斜面のわれの足あと

オアシスの店にてバラの花を買う風の作りし砂岩のバラを

「孤独とは砂漠のことだと思います」サハラより日本へ葉書


本の広告あれこれ⑤

2013-01-19 14:46:10 | 歌う

               ★★「本の広告あれこれ⑤」★★  松井多絵子

 新聞の一面記事から読みはじめる人は、真面目人間、優等生だろう。私は今朝「7邦人の無事確認」を見ただけで、一面下の本の広告へ。この欄は広告代が高いだろうなあ、この本は売れるかなあ。などと気をもみながら見る。

▲ 大人の「夫と妻」のつきあい方 

定年後、毎日が日曜日の夫との付き合い方次第で、妻は老乙女にも暴走老女にもなる。井戸端会議の重要なテーマだ、この本は。
①人は判断力の欠如で結婚する
②「忍耐力の欠如」で離婚する
③「記憶力の欠如」で再婚する

 私はまさに①である。いま、出版社は本を売るのに苦労しているらしい。本のタイトルが内容を要約し、①②③のような説明を添える。私たちはすぐに書店へ行く。しかし私のまわりの女は
立ち読みはするが、1000円以上の本はほとんど買わない。不況のおかげで服がとても安く手に入る。一冊の本より一枚のブラウス。老いても乙女になりたい女。教養より見てくれの世。私の歌集の『厚着の王さま』のなかの三首をご紹介します。

❤ 『奇跡のように哀しく切ない物語』を買いし女の歳が気になる

❤ 『猫を抱いて象と泳ぐ』という本を棚にもどして書店を去りぬ

❤ 迷いつつ買わざりし『母(オモニ)』という本の重みの残る手を吊革に

             ※たやすく本を買わないっ松井多絵子


読売歌壇あれこれ②

2013-01-18 20:28:11 | 歌う

             「読売歌壇あれこれ②~年間賞」

★ 先週につづき、栗木京子、俵万智選者の読売年間賞が発表されました。

栗木京子選 <評> 一般に「乙女」は若い女性を意味するが、老いても華やかな人を見ると
「老乙女」と呼んでみたくなる。折しも梅の花の咲く季節。春を迎える初々しい気分がバスを待つ
人たちを包んでいる。さりげなく置かれた結句も味わい深い。この一年、高齢の方々のパワーに触発されることがじつに多かった。

★着飾りて梅園行きのバスを待つ老乙女らの後ろに並ぶ (光市) 宮本 輝

※まだ裸木の多い早春に、紅白黄の梅の花はことさら美しく見える。梅園へ行く老いた女ちを
「老乙女」とは。少し意地悪な言葉ですね。宮本輝さん。

俵万智選 <評> 「けんけんぱあ」が効いている。神様も遊びたくなるような春ののどかさ
スケールが大きという言い方では物足りない。風景をとらえる心の目が、大きいのだ。小菅
さんには、スカイツリーと月を剣玉にたとえる一首もあった。投稿者にもファンが多く、小菅
さんのことを詠んだ歌がしばしば届く。

★神さまがけんけんぱあをするような島のおかれている春の海 (東京都) 小菅蜴子

※神様がけんけんぱあをされた島々が日本の島だ、中国の島だと騒がれています。神様
  どうしたらよいでしょうか。 松井多絵子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 


子ネコのような男たち

2013-01-17 14:35:03 | 歌う

        NEkO「子ネコのような男たち」NEKO  松井多絵子

 外に出ればたやすく会える動物は猫だ。猫だけだ。飼い主同伴の犬と異なり猫は単独で自在に動きまわっている。猫の表情は目に集約されているように見える。ちらり、きらり、ぐいっと、人間よりも露骨だ。
 その目としっぽで猫たちの意志は通じているのか。それにしても近ごろは子ネコ的な男の多いこと。女のような男の多いこと。スリムで長髪、女っぽい服、それが女よりよく似合ってる。

 現在は猫を飼っていない私は遠き日の猫を呼び寄せてNEK0を詠みました。

         ★猫をうたう 七首

絵のなかを緋鯉が泳ぎ白猫が死んでるように眠っている居間

われよりも疲れているらし傍らに屈まりて眠る歳晩の猫

ナルシスと名づけて呼べば白猫は振り向かぬまま尻尾くねらす

拾われた猫がまもなく捨てられるコンビニ裏の「ふれあい広場」

猫は耳を尖らせ我の嘘を聞き夫はタバコのけむりを放つ

ひとりではリズムにならぬ黒猫の歩幅に合わせて歩いて行こう

女が強くなったのではない男らが子ネコのようになっただけです