えくぼ

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「ひらがな」に疲れる

2013-01-22 20:31:19 | 歌う

            KANA 「ひらがなに疲れる」KANA  松井多絵子

★さよふけてかどゆくひとのからかさにゆきふるおとのさびしくもあるか

これは会津八一(1881~1956)の歌である。彼の歌の多くはひらがなである。むずかしい漢字もやれやれだが、一首すべてが平仮名もやれやれである。読みながら、考えながら、頭のなかで
漢字に変換しなければならない。ひらがなには、そこはかとなきムードがただようが、すぐに意味が分からない場合もある。折角の歌が読者に届かなかったら残念だ。

新年早々、芥川賞の発表があり、75歳の黒田夏子の「abさんご」が受賞作である。横書きでひらがなを多用した「abさんご」について、選考委員の堀江敏幸は「文字自体の力強さがあり、洗練されている。美しい作品だとたたえた。高齢だが、作品はみずみずしいという委員もいた。

 新聞に紹介された作品の一部は、詩のようで、ゆっくり味わいたくなる。しかし「おのずとその見かけがひょうじゅんをはずれてきたのは、ひょうじゅんと見なされている書き方がそのあつかおうとしていることに」 は読むのに疲れる。読むのに時間がかかる。多くの若い人たちに高齢者のパワーを宣伝する本になって欲しいが、忙しい若者たちに「abさんご」がどの程度読まれるか。
 まるで自分が書いた本のように売れゆきを気にしている松井多絵子。