ASAHI 「朝日歌壇あれこれ⑪」 KADANN
1月28日の朝日歌壇は☆が八個もある。新年の歌は見当たらない。やはり年末の投稿が少なかったから、☆の確立が高くなったのではないか。松田梨子の入選歌(馬場あき子選)に ※ 大晦日そうじしたての部屋で読む芥川龍之介の「「蜜柑」 があるが梨子は中学生だから、本を読んでいらるのだ。ママが忙しいときに、手伝わなくても投稿する、そして入選。親孝行ですね。
<永田選 高野選>
☆ からす座をはばたかせつつ一点の人工衛星きたりすぎゆく (神戸市) 有馬純子
<馬場選 佐佐木選>
☆ 冷えつのり青木も万年青(おもと)も南天も実を食われたりひもじき鳥 (八王子)青木一秋
<永田選 高野選>
☆ サファイアの指輪を埋めたような眼で石首魚(いしもち)が見る包丁の下 (横浜)中川節子
<馬場選 高野選>
☆ こんな夜はおでんやおじやが旨かろな雨に濡れつつ獄庭を歩けば (アメリカ)郷隼人
※こんな夜とは雨が降っている夜である。獄庭を歩く作者。私たちの知らない世界で、郷隼人はおでんやおじやの味を恋う。ひどく淋しい一首である。 松井多絵子