ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Procession Ⅱ

2007-06-26 16:25:45 | Weblog
'82年ウェザーリポートは一年間休養するつもりだった。原因は主にジョーとジャコの関係が悪くなったことだ。'81年の日本公演ではすでにその兆候があった。ステージはなんとなくぎこちなかった。マイルスのナンバーをやっていたのを覚えている。あれっネタに困っているのかな?と思った。バンドがどうにもならなくなったのでジョーとウェインが相談して、一年間の休養を決めた。でも彼らは契約に縛られていた。レコーディングをしなければいけなかったんだ。後で聞いたことだけど、当時すでに他の契約不履行で訴えられており裁判をふたつかかえていたらしい。音楽がうまくいかないからといってこれ以上トラブルをかかえこむわけにはいかない。ジャコやピーターアースキン、ボビートーマスにはだまって、新しいサイドメンを雇ってバンドを再スタートさせてしまった。オマーハキムがベイリーとホセロッシーニをつれてきた。結果的にはなんとか難局を乗り切ったかたちだったけど、こういうやり方はやはり人間関係を悪くする。ビジネスがからむとどうしてもこういうことが起きがちだ。このアルバムはそうやって創られた。通して聴くとやはりどこかに無理がある。でもこの中の「Where The Moon Goes」は後々ライブでも注目のレパートリーになった名曲だ。まさにザヴィヌル!でももうウェザーリポートは前のウェザーリポートではなくなった。このあともザヴィヌルの創造意欲は全く衰えず、ジョーらしい名曲を何曲か書いたけど、バンドとしてのウェザーリポートはただ延命治療を施されただけだった。


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