ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Misty

2011-05-17 23:59:22 | Weblog
この曲の構造云々は次回からにして、今回は作曲者のエロールガーナーについてちょっと・・・。ガーナーは歴史に残るjazzgiantの一人で誰でも一度聞いたら忘れられないピアノスタイルを身につけたピアニストだ。全く音楽教育を受けずに音楽とピアノ奏法をマスターしてしまった天才だ。若い時から光っていたらしく'50年代初期のパーカーのアルバムでサイドメンをつとめている。アートブレイキーが後年語っていたことだけど、彼がピアノを諦めてドラマーになろうと思ったのはガーナーのピアノを聴いてこれは勝てないと思ったかららしい。全くの独学だから、いろんな曲を自分勝手なキーで覚えていてセッションに行くとうまくいかないのであまり人と演奏しなかったらしい。でも普通なら負の要素になるそういったことを逆に独特の音楽スタイルのバックボーンとして確立し一流のミュージシャンになれたのは「才能」これ以外にあり得ない。名盤となっている素晴らしいアルバムもたくさん残している。スタイルを確立してからの彼の演奏は素晴らしいの一言、こんなすごいエンターテイメントは他にない。メチャメチャ楽しめる。彼の音楽スタイル、ピアノ奏法はまさにワンアンドオンリーで真似できるものではないけど、世界中のジャズピアニストに影響を与えている。まずみんなが気になる左手のヴォイシングのスタイル、ビハインドザビートのメロディーライン、音楽的なこともたくさんあるが、チョット違った話で、ガーナーは異常に高い椅子が好きなのだ。何故だかわからない。いつも高い。足りない時は電話帳を敷く。20世紀クラシックの大家リヒテルは師匠のネイガウスに高い椅子で弾くことを教わったと言っていた。そういうのがはまる人もいるんだろう。オーバーな言い方ではなくて褒めちぎることしかできない。それがエロールガーナーだ。


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