ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

When I Fall In Love

2015-10-17 02:37:27 | Weblog
Victor YoungとEdward Heymanの作品。映画「One Minute To Zero」の中で初めてに使用され、最初にヒットしたのは1952年にDoris Dayが歌ったヴァージョンだ。その後数え切れないぐらいの歌手がこの曲を録音し何度もヒットさせている。そしてジャズミュージシャンの間でもジャズバラードとして定着しているthe Standardだ。形式はA-B-A-C、32小節。まず気が付くのはメロディーにシャープ、フラットが全くない。もちろん和声は工夫をこらしてコードづけをするから、スケール以外の音も出てくるし、一時的にトナリティーが変化したりもするがメロディーに魅力がないと、ヴォーカリストは許してくれない。歌曲としての魅力を身をもって判定するのはやはり歌手なのだ。シャープフラットがないともちろん簡単に歌えるがそれは「退屈」と紙一重という問題をはらんでいる。微妙なところなのだ。そしてジャズミュージシャンがインプロヴィゼーションの素材として認識しているということは、ジャズの演奏にも耐えうるスタンダード曲としての体力も持っているということだ。歌や演奏に適しているかどうかの判定の基準は説明が難しい。具体的にここがどうのということもできるが、それは一部分でしかない。ほとんどは歌手や演奏家の音楽家としての直感だ。そしてそれが徐々に世界中に広まっていく。優れた音楽家は曲選びの優れた直感を持っていると言って間違いないと思う。

ポートレイト・イン・ジャズ
ユニバーサルクラシック
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