ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

How About You?

2015-11-17 04:20:55 | Weblog
1941年、Burton Laneの作品、歌詞はRaiph Freed。いろんなヴォーカリストが歌っているが、元来はコメディの中の歌詞なので、歌詞を変えて歌っている人が多いようだ。シナトラはFranklin Rooseveltが出てくるところで、James Duranteといういわゆるエンターティナーの名前を出している。なんともコメントできないが、これがシナトラのチョイスだ。まあこういう風に歌詞を自分のセンスやその時代に合わせて変えるのは、ほかの曲でもあるが、「How About You?」という歌詞はもちろんそのままだ。このタイトルの意味はともかくワンコーラスに5回出てくるこの言葉にいろんなメロディーがくっついている。最初は5度上行、それを半音上にずらしてまた5度上行、前半の終わりに長3度下行。後半も5度上行があって最後は短7度下がって短2度上がる。まあこれはラシドと音階的に上がって解決するのをひっくり返しただけだけど・・・。おおまかに3種類のメロディーラインがこのタイトルの歌詞に用意されているわけだ。で、どれも全く違和感はない。というのは、言葉によってはかなりメロディーラインを制限されるものがあって、特にそれがタイトルであったりすると、慎重にメロディーを組み立てないとその部分が不自然に聞こえると音楽そのものの価値も下げてしまうことがあるからなのだ。歌詞と音楽どちらが先でも同時でも問題はないが、結果的に歌詞と音楽の不一致はその楽曲をダメにしてしまう。カンタータとソナータ、お互い相容れない部分を持つ芸術を融合させるのは作曲家の永遠のテーマだ。作曲家には想像以上に「歌う」という能力が要求される。これは実はジャズミュージシャンにも言えることなのだ。

Time Remembered
Prestige
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