1957年、Bobby Troupの作品、歌詞はLeah Worthが書いている。この曲に最初に接したのは、マイルスの「Miles Ahead」だ。このアルバムの制作年には注意を払っていなかったが、チェックしてみるとリリースされたのは1957年、つまり最新の楽曲をレコーディングしているのだ。Julie Londonも同じ年に歌ってアルバムをリリースしている。当時のジャズ界というか音楽業界の新陳代謝の良さみたいなのが垣間見える。ジャズアルバムがまだドル箱の時代だ。この曲はブルースではない。形式はA-A'で32小節、マイナーキーでメロディーは長い音符が続く。マイナーのトニックコードのところは5度やルートを半音で移行させてクリシェを伴うのがお決まりのハーモナイズだ。これで十分。アレンジはどうやってもいいようなものだが、あまり早いテンポはこの曲には合わない。ジャズスタンダードにはスローバラードでやったり超アップテンポでやったりそのどちらにも適応する曲もある。どちらでやるか?これは好みの問題だ。でもある程度はこのぐらいかな?というテンポの縛りがある曲もある。ジャズの初心者だった頃、同じ曲が演奏者によってテンポが極端に違うのに驚いた。そしてなにより同じミュージシャンがやる日によって同じ曲を全く違うテンポで演奏することにも驚いた。訳が分からなかった。でもその理由の全ては自分自身が何度も演奏することによって理解できた。一言で言うと「気分」なのだ。なんの台本もない、この無責任さがジャズの「ヒップさ」の一端でもある。
スタンダーズ VOL.1 | |
キース・ジャレット,ゲイリー・ピーコック,ジャック・ディジョネット | |
ユニバーサル ミュージック |