三国流転 立志編 vol7 第14話 避けられぬ圧力
先の随と高句麗の戦争で、新羅は随の側についたことをとがめるために、新羅に使節団を送る高句麗
京観(キョングアン)塔の落成式に出席するように圧力をかける。
新羅に高句麗の使節団に出くわした花郎の修練の帰り道の出来事。
ヨン・テス:本当に私の顔に見覚えはないか
ゲソムン:ありません。人違いではないでしょうか
テス:名はなんという
ゲソムンといいます
テス:実は私には生き別れた甥がいるのだ。
生きていればお前くらいの年になっているはずだ
高句麗の使節団が新羅王宮チョンピョン王と謁見する会話
第26代チョンピョン新羅王:
さて、国王陛下のお言葉を伺いたい
ヨン・テス:
高句麗は、檀君朝鮮の後を継ぐ三韓の総領です
新羅の兄というべき国なのです
それなのに、随のヤン・ギョンと通じているとは
国王陛下はこの件に関して伺いたいと
新羅の臣下:随と通じているなどもってのほか
ヨン・テス:
西土(ソト)で戦ってた時、我が軍を脅かしたではないか
☆西土(ソト):高句麗の西方・随
新羅の臣下:何を今さら、昔の話しだ
ヨン・テス:
それは違う
我が国と随との関係を知っていたはずだ
それにも関わらず我が国の敵に味方した
違いますか(アニグロッソ)
我が国の鉄甲騎馬隊に阿利水を越えさせてもいいのです
そうすれば、新羅の民が滅びるだけではない
この王宮とて一瞬にして消し去れるのだ
クァンゲト大王(19代高句麗王:公開土大王)は、かつて
恩恵を与えたはず
百済(ペクチェ)、倭国、伽耶(カヤ)の攻撃に対し
5万もの兵で援護し新羅を助けた
そこでネムル王は高句麗の属国として
毎年、高句麗に進貢したはず
お忘れですか
我が国は、新羅が攻撃に遭えば、進んで手を差し伸べ救ってきた
それなのに高句麗の敵に歩み寄っていくのですか
☆阿利水(アリス):漢江(ハンガン)
☆ネムル王:第17代新羅王
チョンピョン新羅王:
そなたの王は勘違いされている
かつての恩を忘れるはずはないとお伝えするように
ヨン・テス:
国王陛下は隋軍に圧勝した記念として、遼河に京観(キョングアン)を建てました
10月の祭天(チェチョン)には宴を開く予定です
諸国の使者が祝いに駆けつけます
新羅からも必ず使者を送るように陛下からの命令です
☆祭天(チェチョン):天を祭る日
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高句麗(コグリョ)と新羅(シンラ)
後世、三韓を統一するものの
この時点では新羅が最も弱い国だった
クァンゲト大王が新羅を救ったのは西暦400年のこと
済(ペクチェ)、倭国、伽耶(カヤ)に攻撃された新羅を助けたのだ
クァンゲト大王は新羅の要請を受け、見事倭軍を壊滅させた
王を百済王宮で拘束したのである
こうして、新羅、百済、さらに倭国までが高句麗の影響を受けた
これらの国々を支配したのである。
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チョンピョン新羅王:
旅でお疲れになったことだろう
臣下と話し合って返事をする
伊食(イチャン)は宴を開いて使者をもてなせ
では、おくつろぎください
☆伊食(イチャン):新羅 第2位の官位
新羅の臣下:陛下、申し訳ありません
私どもの落ち度で陛下が侮辱されるとは
花郎(ファラン)の修練が終わるのを待っていたボヒはゲソムンを誘ってデートに出かけた。
ボヒ:あなたがどこの出身か聞かれるかと
聞かれたら何と答えた?
だけど、するどい目であなたを見つめてた
半月の間、一切食事をしなかったのね
ゲソムン:なんとか耐えました
先ほど食事を済ませたのでもう大丈夫です
ボヒ:みたでしょ?
兄上とチョングアンヨ
チョングアンニョに聞いたの
兄上を慕っていると
勇気があるわ
ゲソムン:なにがですか?
ボヒ:彼女は巫女よ
純潔でいるべき身で思いを告げるなんて
とても大胆だわ
兄上も好きみたい
本当に不思議ね
なぜ人を好きになるのかしら
ゲソムン:夕日が美しいですね
ボヒ:私は?
ゲソムン:お嬢様も、美しい
ボヒ:無理に言わないで
ゲソムンに腕抜きと革靴を作ったの
肌着も縫ってる
ゲソムン:奥様が目にしたらお叱りになりますよ
ボヒ:毎日、真剣に何度も何度も考えたの
どうしようかと
ゲソムンをこんなに慕う気持ちをどうすれば
ゲソムン:お嬢様(アゲシイ)
お嬢様を遠くから見つめていること、それが私の望みです
私への未練はお忘れください。
ボヒ:そうね。
そうできたら苦しまずに済む
忘れられたら
ゲソムン:私が下男であることは変えられようもない事実です
ボヒ:母上も身分違いの父上と一緒に逃げたわ
ゲソムン:それとはわけが違います
ボヒ:きっと母上なら、2人で駆け落ちしても理解してくれるはずよ
ボヒ:どうぢても2人の仲を認めてもらえないのなら
折を見て一緒に逃げ出しましょう
なにもいらない
一緒にいられるなら、すべてを捨てても構わない
私、分かったの
人を愛したら命も惜しくないって
出発の準備をして
両親のように逃げるの
行き着いた先で子どもを産んで、家事や農作業に精をだすわ
一緒に生きるの
ゲソムン:お嬢様。できるでしょうか
決して許されぬことです
ボヒ:どうか恐れないで
2人なら乗り越えられるはず