三国流転 立志編 vol6 第12話 身分の差
ユシン:キム・ユシンと龍華郎徒(ヨンファナンド)が勝利をご報告いたします。
第26代チョンピョン王:
さすがは新羅の花郎(ファラン)だ。
今日の勝者は大花郎(テファラン)という重大な役目を任される。祝いとしてその宝剣を与えよう。
剣を大事にし常に国事のことを考えよ。
皇太后:ユシン元気にしてたか。
孫の栄誉が見られてうれしいぞ。
若いうちはいろいろ学ばねばならん。
風月主(プンフォルチュ):
我が花郎の歴史は初代の魏花郎(ウイファラン)以来、もう60年にもなる。
高句麗(コグリョ)には早衣(チョイ)がおり、百済(ペクチェ)には武節(ムジョル)がいるが根本は同じ
今は国が分かれているが中でも新羅は弱小国となってしまった。
そなたたちがその無念を晴らすと信じている。
最後まで奮闘した郎徒(ナンド)はどこだ?
ゲソムン:郎徒(ナンド)のゲソムンが拝謁いたします。
チョンピョン王:
すばらしかったぞ。
風月主(プンフォルチュ)がそなたに褒美を与えることだろう。
では皆、郎亭(ナンジョン)に帰って酒を楽しむがよい。
皇太后:私にはユシンしか目に入らなかったよ。
王宮へ遊びに来ておくれ。
皇太后様ではなく、おばあ様だろう。
今夜は遊ぶといいが、嫁を選ばないとね。
結婚するのにちょうどいい年頃だ。
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花郎(ファラン)は、西暦540年、チヌン王元年に成立。
国仙徒(ククソンド)風月徒(プンフォルド)風流徒(プンニュド)とも呼ばれた。
のちの新羅統一に関与しただけでなく、国の要職は、花郎(ファラン)出身者ばかりというほど人材の宝庫だった。
その花郎に関する記録の中に、当時の性風俗をうかがうことができる。
その内容の真偽が定かでない「花郎世紀」が、その中にこんなことが書かれている。
郎徒(ナンド)と遊女と民は、たくさんの明かりの中で夜宴を催し、夜明けまで歌い関係を持った。
つまり性におおらかだったのである。
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キム・ソヨン(ユシンの父):
風月主(プンフォルチュ)のおかげで息子たちが一人前になれたのですから。
心から感謝しております。
風月主(プンフォルチュ):
ユシンは生まれながらの逸材です。
彼だけではありません。ゲソムンも優れた資質の持ち主です。
郎頭別将(ナンドウピョルヤン)に昇進させました。
多くの郎徒を育てましたが、あんな優秀な子は始めてです。
もし家柄がよかったなら、ユシンと肩を並べられたことでしょう。
ユシンはよい従者を持ちました。
大人物には優秀な補佐が必要です。
ペクソク:ゲソムン、今の方を知っているか
ミシル宮主(グンジュ)だ。
源花(ウオンファ)だったそうだ。
☆ペクソク(高句麗(コグリョ)の密偵)
ゲソムン:そんなことより、皆奮闘したのに私だけ昇進してすまないな。
ペクソク:友の昇進はうれしいさ。
俺たち2人ともマンノ郡出身の郎徒だ。
それなら、なぜ龍華郎徒(ヨンファナンド)に入るのが遅かった?
俺は幼い頃からソラボルにいた。
つい最近になって、故郷がマンノ郡近くだと知ったんだ。
ゲソムン:友だちになれてうれしいよ。
ペクソク:しかし、残念だな、お前が名家の出なら花郎になれたのに。
高句麗(コグリョ)には、こんな差別はないという。
随との戦いを指揮したウルチムンドク将軍は平民だ。
昔、新羅と戦い戦死したオン・ダル将軍も、王の娘婿だったがやはり平民だ。
ゲソムン:高句麗にずいぶん詳しいな。
フムスン(ユシンの弟):
郎頭別将(ナンドウピョルヤン)になったからと調子に乗るな。
ついてこい。
ユシン: ゲソムンと飲みたいんだが、どこに行った?
ペクソク:たった今、フムスン様とあちらのほうへ。
チョングアンニョ(ミシルの養女)巫女:
大花郎(テファラン)様ですね。
神宮で祭事を行うチョングアンニョです。
ユシン: めずらしい名だな。お会いするのは始めてだが、うつくしい方だ。
巫女: 神宮はこの近くなので見学さないませんか。
ユシン: 案内するならお伺いします。
今夜は楽しむようにと陛下もおっしゃった。
今日は、まことに運がいい。