気ままに

大船での気ままな生活日誌

絢爛豪華岩佐又兵衛絵巻 山中常盤物語

2012-03-19 11:24:45 | Weblog
いよいよ岩佐又兵衛絵巻シリーズ第I期 ”山中常盤物語”が、熱海のMOA美術館で始まった。ひと月しか展示していないので、うっかりすると見逃してしまう。II期の浄瑠璃物語、III期の堀江物語もいいけど、山中常盤物語は、又兵衛さんの最高傑作だ。断言する!絶対見逃すわけにはいかないのだ(笑)。

山中常盤物語全12巻。一巻約12.5メートル、全巻となると、ななななんと、150メートル。それらすべてが開かれるのだから、展示室はひとつではとても収まらない、5,6室はあったのではないか。こんな豪華な展示は、MOAだからできること。普通なら、各巻の名場面のところだけの展示で済まされるだろう。

第1巻から第12巻まで順に、豪華絢爛たる絵巻物を、自分のペースでゆっくりと眺めながら進む。ふと思い出して、前の巻に戻ってもう一度みるなんてこともできる。お客さんがまばらなので、そういう見方ができるのだ。東京から離れた地での開催ということもあるのだろう。まるで自分ちで絵巻を拡げてみている感じ。なんて贅沢な鑑賞だろうと、幸福感でいっぱいになる。

さて、第1巻。はじめに、源氏の御曹司、牛若丸がひとり現れる。”15歳の春、おごる平家を討とうと奥州の藤原秀衡を頼み、東国へ下ろうとする”という意味の文章が前に添えられている。こうして、以降、浄瑠璃の語りに当たる文章と絵物語が進行するのだ。秀衡の館に着いた牛若丸は鄭重に迎えられ、幸せな日々をすごす。一方、都にいる常盤御前は、行方知らずになった牛若を案じ、清水寺にはだし参りをしたり、八幡山への百日詣でをする。神仏のご利益により、その年の秋、奥州から牛若の文が届き、常盤は喜び、秀衡の館を訪ねようとする。巻き手紙を読む常盤の嬉しそうな姿でおわる。

そして、第2巻が惜しげもなく、次のコーナーに拡げられている。さあ、どういう旅路か、わくわくとする。常盤は直ぐにでも旅立ちたいが、侍従は冬に向かう奥州路は難所も多いので、春を待つよう、常盤をとどめる。そして、春も半ばのころ、常盤と侍従を従え、東国へ下る。常盤は十二単衣に糸のわらじ、侍従は五重ねの小袖にもみたびといういでたちで、柴野の御所をあとにする。衣装のうつくしいこと。色も、今、描いたばかりかと見紛う鮮やかさです。

第3巻。奥州への女二人の徒歩での旅はきつく、つらい。子ゆえの暗に迷うとはこのことかと思い知らされる。二人が山中(やまなか)の宿(現在の岐阜県関ヶ原町)に辿りつくと、常盤は旅の難儀と牛若恋しさで身も心も疲れ果て、重い病の床についてしまう。

そして、この絵巻の最大のハイライト、第4巻。気の弱い人は見られないシーン。山中の宿に住む六人の盗賊は、常盤と侍従を東下りする上臈(じょうろう)とみて、美しい小袖を盗もうと謀る。夜半に押しいった盗賊は、常盤と侍従の見ている小袖まではぎとる。肌をかくす小袖を残すがなさけ、さもなくば命もとってゆけと叫ぶ。すると盗賊は裸の常盤をぐさりと刺し、侍従も殺して逃げ去る。血がしたたる様子が描かれている。内容は残酷だが、絵ではそれほどのむごい印象はない。

では、第4巻までの絵をのせる。

第一巻 牛若の行方を心配する常盤御前


第三巻 瀬田の唐橋を御曹司を思い、涙して渡る常盤御前と侍従


第三巻 しのはら堤、なるみが原と旅を続ける常磐主従


第四巻 山中の宿で盗賊に襲われ、肌をかくす小袖を残すがなさけ、さもなくば命もとってゆけと叫ぶ常盤御前


(つづく) これからまた、遊びに出かけますので。夜は横浜でミニクラス会(汗)。

(この記事の、各巻の要旨は展覧会資料を参照しています)

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 浅草三社祭・舟渡御 半世紀ぶり | トップ | 春彼岸 三溪園の臥龍梅が満開 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事