おはようございます。
昨日は大谷翔平は休みだし、外はといえば雨降り。こんな日は、久しぶりに映画にでもと、辻堂に向かった。はじめ、池波正太郎原作の時代劇をと思っていたが、”シネマ歌舞伎”が上映されていたので、急遽、それに変更した。まさに”気まま”人生だ(笑)。
今回は特定の演目ではなく、”わが心の歌舞伎座”というタイトルで、2009年に歌舞伎座の老朽化による建て替え工事を受けて”さよなら公演”がスタートしたが、それから、2010年4月30日の閉場式までの間のドキュメント映画である。
”さよなら公演”では人気演目が上演され、ぼくもいくつかを観ているが、それらの舞台のクライマックスシーンや名優たちの歌舞伎座への思い入れが紹介される。故人となられた先代團十郎、勘三郎、吉右衛門ら、そして、今もお元気な玉三郎、菊五郎、仁左衛門、幸四郎(白鸚)らが、それぞれ、思入れのある役どころ、受け継がれてきた名跡、初舞台の思い出などを語る。加えて、普段見られない稽古風景や楽屋の日常、美術・音曲・衣裳・かつら・床山・小道具など舞台の制作現場風景も紹介される。
この映画は2011年の制作で、上映もされたはずだが、ぼくは見ていない。新歌舞伎座10年目の年に再上映ということだろう。
映画の概要は以下の予告編にお任せし、ぼくの思い出の歌舞伎座をそのあとに(笑)。
『わが心の歌舞伎座』予告編
ぼくの”思い出の歌舞伎座、さよなら公演”
16か月に及ぶ、さよなら公演がはじまってから、数度は見に行っている。でもブログ記事にしているには二つほど。2009年の二月公演。演目は、”蘭平物狂”、”勧進帳”そして”三人吉三巴白浪”。俳優は蘭平は三津五郎、弁慶は吉右衛門、そしてお譲吉三は、玉三郎と豪華な布陣。今度の映画にも吉右衛門の弁慶の名場面が出て来た。吉右衛門は何十回もこの役を演じ、大好きな役だそうだ。玉三郎のお嬢吉三はその後、見たことはない。映画では菊五郎のお嬢吉三の舞台が紹介されていた。
2009年、歌舞伎座さよなら公演の勧進帳。吉右衛門の弁慶
そして、さよなら公演もいよいよ最終盤、御名残四月大歌舞伎(2010)の千穐楽もあと5日と迫っていた。ぼくはその日、東京に所用があって、帰りに根津のつつじでもと思っていたが、そうだ歌舞伎座が、そろそろ閉幕だっけと、東銀座に向かった。通りを隔てて、もうすぐなくなる歌舞伎座をしばらく眺めていた。たくさんの人がカメラを向けていた。全体像を撮るのはこここが一番なのだ。
八幡さまの大銀杏じゃないけど、もう、なくなってしまうのかと思うと、なんだかとてもさびしい気持ちになった。交差点を渡り、近づくと、”あと5日”の文字が点灯していた。余命5日なんだ、と思うと、ますますさびしくがつのった。”歌舞伎座さよなら公演”と銘打った公演は1年以上前から続いていたが、その間、ぼくも3回ぐらいは観に行っている。その、”さよなら公演”もいよいよ本当の”さよなら公演”の時期になってしまったのだ。
そしたら、急に最後の公演が観たくなってしまった。もちろん通常の席は最終日まで売り切れている。残るは4階の一幕見席だけだ。1400円で一幕だけみられる。野球の外野席みたいなもので、通はここで観ると言われている。その席を待つ人の列がすごい。係の人に聞いてみたら、2時間待ちで3時開演の2部がみられるという。2時間ぐらいなら阿修羅展で経験しているし、歌舞伎座最後の公演なんて、もう一生、観られないと思い、並んだ。”菅原伝授手習鑑/寺小屋”の一幕をみて、今生のお別れにしようと決心したのだ。ぼくの好きな玉三郎も千代役で出演する。2時間といっても本を読んだり、こんな粋なおねいさんも見られたし(汗)、飽きはしなかった。
一幕見席は入ったことがあるが、今回はその席にも座れず、立ち見だった。でも、一番上の真ん中から、館内全体を見下ろすことができ、”さよなら歌舞伎座”を観るには最適の場所だった。屋根から客席まで、忘れないように見まわしていた。花道のそばのいい席で観たこともあったな、とかいろんなこと思い出しながら、”寺小屋”をみた。(ぼくは初心者だが)”通”の席らしく、屋号の○○屋という掛け声が飛び交った。幸四郎(松王丸)、玉三郎(千代)、勘三郎(戸浪)、仁左衛門(武部源蔵)と人気役者が出て、あっと言う間に、一幕が終わった。
歌舞伎座御名残四月大歌舞伎の千穐楽の様子は、もちろん、映画で取り上げられていたが、夜の部の團十郎の助六で締められた。
映画では、さらに、2010年4月30日の閉場式が始まる。「都風流」「京鹿子娘道成寺」が演じられた後、総勢300名の俳優と、満席のお客が想いを込めた手締式で歌舞伎座は幕を閉じる。
。。。。。
そして、3年後、2013年、4月、歌舞伎座のこけら落とし公演がはじまった。もちろん、見に行った。近江源氏先陣館/盛綱陣屋で、仁左衛門(佐々木盛綱役)と吉右衛門(和田兵衛秀盛役)を観て、そして歌舞伎十八番の内 勧進帳。勧進帳の弁慶は幸四郎、そして富樫が菊五郎と、こけら落としならでの豪華メンバーだった。
新歌舞伎座
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!