おはようございます。
生誕120年・没後100年/関根正二展が神奈川近代美術館・鎌倉別館で開かれている。わずか20年の命、そして画業は5年ほどという短期間の回顧展である。関根の回顧展は初めてだが、作品は旅先の福島県立美術館で”師弟”と”神の祈り”等、大原美術館で”信仰の悲しみ”、最近ではアーティゾン美術館で”少年”を見ている。
関根正二(1899-1919)は福島県白河の生まれで、9歳のとき上京、深川に住む。小学校の同級になんと伊東深水がいて、友達になる。1913年(大正2年)頃から絵の勉強を始めたが、ほとんど独学であった。1915年、二科展に”死を思ふ日”が入選し、そのとき特別出品されていた11歳上の安井曾太郎の滞欧作品を見て、色彩の重要性を認識したようだ。二科展の審査委員として、17歳上の有島生馬がいたが、関根のよき理解者であったのこと。
1918年(大正7年)の第6回二科展に”信仰の悲しみ”ほか2点が樗牛賞となり、将来が期待されたが、なんと、翌年に帰らぬ人となった。
会場は撮影禁止だが、見開きのちらしにたくさんの作品が載せてあるので、それらを使わせてもらう。
では、まず、樗牛賞となった3点。
信仰の悲しみ(大原美術館蔵)妊婦の女性の行列という奇妙な絵だが、日比谷公園の公衆トイレから出てくる女性の幻影を見て、それを絵画化したそうだ。原題は”楽しき国土”だった。近代日本画中、類例のない特異な生彩を放つ傑作として評価されている。重要文化財。

自画像(福島美術館)亡くなる1年前の物思いにふける表情。友人の伊東深水が譲り受けたが、亡くなってから両親に返された。

姉弟(福島美術館) 姉のケラと自分。少年の目がこちらを見つめている。

関根のヴァーミリオンと賞賛された朱色、深い青緑などの鮮やかな色彩が印象的。
少年(個人蔵)りんごのよなほっぺ。

三星(東近美) 三星とはオリオン座の三ツ星のこと。中央が画家本人、右が病院で恋した田口真咲、左が姉ケラ。はじめは中央には女性を描くつもりだったらしい。

神の祈り(福島美術館)

少女(個人蔵) 100年振りの公開。パステル画。病で体力が落ち、パステルを使うようになった。

女の顔(神奈川近代美術館)

井上郁像(福島美術館)

小供 (個人蔵)

チューリップ(個人蔵)

また、第三章の関連作家の作品もとても面白かった。伊東深水の若き日の作品や(関根の唯一の日本画と並んで展示されている)、同年に22歳で亡くなった村山櫂多や、有島生馬、安井曾太郎、東郷青児、上野山清貢、久米正雄らの作品も見られる。上野山清貢の妻で作家の素木しづの書籍も展示されている。関根は上野山の家によく出入りしていたが、そのとき夫人は結核にかかっていた。関根は天才は肺病でなければならないと、わざと夫人の使った茶碗を洗わずにそれでご飯を食べたという話がある。
とても素晴らしい展覧会だった。


それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!