”北斎、広重、巴水・・・、時を超えた競演”と、ぼくの好きな三絵師の誘い文句があったのに、なんと終幕5日前のぎりぎりセーフの会場入りとなった。江戸東京博物館、”日本橋/描かれたランドマークの400年”。
第一章は
都市・江戸の華
いきなり、北斎の”東海道一覧図”に目が釘付け。大版一枚カレンダーくらいの大きさの紙に東海道のお江戸日本橋から京都までが描きこまれている。右下隅が日本橋で、六郷を渡り、下端を西へ西へ。相模を抜け、左端から上がると、そこには巨大な富士山が。やっぱり北斎にとって富士山は別格なんや。そこから、また、右下に駿河、遠江、三河、尾張と下り、また上方へ、近江を過ぎて、右上の京都でおしまい。細かく観ていくと、これ一枚で一時間かかってしまう。あとの作品は、1秒づつになってしまいそうなので、5分程度で止める。
そして、そのすぐ後、広重の”東海道五十三次之内 日本橋 朝の景”。画中手前の大木戸が開き、大名行列が日本橋をこちらに向け、渡り始めている。魚や野菜を天秤棒でかつぐ人々が手前に。活気溢れる、日本橋の朝景色。その隣りには、ななななんと、千葉でみてきたばかりの英泉さんが。”木曽街道 続壱日本橋 雪之曙”。日本橋から江戸橋を望む図。裸の男が橋上で荷車を押している。魚河岸の蔵の屋根には雪が積もっている。このシリーズは途中、広重にバトンタッチしたものかな。さらに、国貞も登場、”東海道日本橋”。北尾正実の”江戸名所之絵”鳥瞰図の細かい描写。
こうして、第一幕は、オールスター総出演で、歌舞伎でいえば花形役者の口上といったところ。そして幕がおりる。その”幕”がまたすばらしい。影からくり絵。絵の所々に穴が開いていて、その部分に和紙が張られ、うしろから光を当てる。そうすると、夕方になると、隅田川沿いの家々の窓に灯がともり、両国の花火大会も始まる。昼間の景色と夜景が楽しめる、一枚で二度おいしい、”隅田川風物図巻”。細かいでござんすよ、小さな家の窓から人影がみえたり。
隅田川風物図巻 昼間の景色と夜の景色
広重 ”東海道五十三次之内 日本橋 朝の景”
そして二幕目が。”
日本橋を描く~江戸城、富士山、魚河岸と~” 日本橋を描くとき、東から眺め、背景は江戸城と富士山というのが定番だそうだが、ここでは、様々なアングルで描いた日本橋を紹介している。
”高札場のある風景”では春信ら7点ほど。不人気なアングルだったようだ。それに対し、日本橋界隈の賑わいを描かれる、”魚河岸のある風景”は人気のスポット。ここには、広重の、”東都名所 日本橋真景并ニ魚市全図”、おきゃんな(?)姉さん二人を入れた”東都名所年中行事 四月 日本橋初かつお”など5つも。 北斎も二つ。英泉はここでも出演、”江戸日本橋より富士を見る図”藍色の濃淡を基調とした色彩構成。
”日本橋風景さまざま”では大胆な構成、といえば、やっぱり北斎。”富嶽三十六景 江戸日本橋”橋を描かず、渡っている人々の姿を前面に。両岸の魚河岸の蔵、遠方に富士山と江戸城を描く。
”日本橋周辺の町々”では、日本橋界隈の今も伝統を引き継ぐ、大店がたびたび描かれる。北斎の”富嶽三十六景 江都駿河町三井見世略図”。豊国も三井越後屋を。清長と英泉はえびす屋。柏木屋、長崎屋の名も。
広重 東都名所 日本橋真景并ニ魚市全図
広重 東都名所年中行事 四月 日本橋初かつお
英泉 ”江戸日本橋より富士を見る図”
北斎”富嶽三十六景 江戸日本橋”
北斎”富嶽三十六景 ”江都駿河町三井見世略図”
以下、
第3章 文明開化と日本橋 、第4章 石で造られた日本橋と続きますが、遊びに行く時間がなくなりますので、これで止めておきます。こうして、身勝手が許されるのがブログ、いいなあ、ブログって。
一番最後の部屋にやっと出てきた一枚。川瀬巴水。”日本橋 夜明け”
今日は、日本橋に行ってくるかな。