
芦の湖畔の成川美術館は、日本画家、堀文子のコレクションでは質量とも日本一なんだそうである。ちょうど、富士山を追って、訪れたとき、彼女の展覧会がここで開かれていた。富士山に連れてきてもらったようなものだ。おかげさまで、ほんとにすばらしい作品の数々をみせてもらい、富士山に感謝したい。
堀文子は大正7年東京の平河町で生まれ、女子美を出てからしばらく東大(当時帝大)の農学部で農作物記録係を務めていたとゆう。なにかの美術賞を受賞してから画家として独立する。まだ、お元気だとゆうから、もう92歳になる。この美術館はノーフラッシュなら写真撮影OKなのがうれしい。いくつか、気にいった作品を紹介してみたい。
まず、有名な”ブルーポピー”。平成13年の作品で、ネパールの奥地の急斜面の山に登って出会ったそうだ。80歳を過ぎてからのことである。こうゆう、厳しい環境に生き抜く花もすごいが、そこまで辿り着く、堀さんもすごい。ポピーは、金色の棘で武装しているが、堀さんもきっと心に金色の鎧をつけているのだろう。もうひとつの”孤独のブルーポピー”はその7年後に描かれている。


まるで、先日、山種で観てきた、速水御舟の”炎舞”のような作品”春炎”。炎の中に飛び込む花、まるで投身自殺。”描きながら、炎に包まれ、自分の性を焼き殺してしまうということをはっきり憶えていると”の添え書き。52歳のとき、大阪万博の年に描いた、”壮絶”な絵。

外国にもずいぶん行かれたようだ。イタリアのトスカーナ地方も気に入られたようだ。畑の中に咲くポピー。”雑草ポピー”を抜かず、そのままにしている怠け者のようなイタリア人。日本人にはない、のびやかさを好ましく思ったようだ。

80歳になってから訪ねた、南米アマゾンの密林やインカ、そんな中から生まれた、楽しい絵。

葉切り蟻の行列

椿

まさに”命というもの”展でした。どうぞ、堀さんも、いつまでもお元気でご活躍ください。
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そのほかの画家たちのすばらしい作品もいっぱい。楽しい展覧会だった。
