雪の中を走るキハ52に会うため、1月9日から11日までJR西日本・大糸線に出かけた。
昨年夏と秋に、2基のエンジンを噴き上げて新潟・長野県境の山岳路線を懸命に走る老兵の姿に触れ、白銀の世界を行く彼らにも会いたいと思った。本当は四季折々の景色の中を走る姿が見たかった。だが、すでに3月12日で定期運用から外れることが発表されており、春の花とのコラボレーションを見ることは夢となった。
それだけに、冬のシーンは必ず見たいと思い、12月29日から31日の2泊3日の予定で出かける計画を立てた。ところが、直前になって風邪をひいて発熱し、断念せざるをえなくなった。だが、絶対に行くのだとの思いから、すぐに今回の計画に変更した。
1月9日0時02分、京都駅を発車した急行「きたぐに」は5時28分、定刻に糸魚川に到着した。これまで2回は6時4分発の南小谷行き大糸線始発で小滝に行き、すぐ後から来る平岩折り返しの2番列車の往復を撮影して糸魚川に戻り、レンタカーを借りた。けれど、1月の小滝は暗く、露出がない。キハ52を撮るばかりで南小谷まで乗ったことがない。こうしたことから、糸魚川-南小谷を往復乗車することにしてみた。
糸魚川駅の4番線に2両のキハ52が停車している。前に停まっているのは、2ダイヤで始発の首都圏色キハ52-156。乗りこむ列車だ。不思議なことに過去2回の小滝行きも含め、乗車したのはすべてこの「タラコ」156号だ。そして後方に控えているのがメーンとなる1ダイヤのキハ52-125だ。糸魚川地域鉄道部の発表では、この3日間、スカ色とも鉄道省色ともいわれる旧標準色の125は運用に入らなかったはず。一方、本来走るはずの国鉄標準色キハ52-115の姿は見えない。
乗車の模様はすでに携帯電話から書き込んだ通りである。予定通り、南小谷往復を堪能し、9時にレンタカーを借りた。もう通い慣れた、といってもいい道である。一路、大糸線沿いに国道148号を南下する。雲が多めだが、青空が広がってよい天気だ。右手に黒姫山だろうか白銀の峰が陽光を浴びて輝いている。
「あの輝く山を撮りたい」。そうなると、撮影場所は頸城大野駅しかない。ここで撮影するのは初めて。だが、駅の背後に雪原が広がっているのは先ほど車窓から見たばかりだ。手前に雪原を入れ、駅に停車するキハ52を撮れる。背後には山がそびえている。
雪原に踏み跡がある。すでに去った先客が付けたあとだ。防寒防水の革のトレッキングブーツにゴアテックスのスパッツを付け、雪原に入る。ところどころで、ひざまで埋まりながら慎重に撮影ポイントまで行く。三脚を立て、アングルを決めて列車の到着を待つばかり。
山は輝き続けているが、雪原と駅は晴れたりかげったりを繰り返している。さあ、10時11分、到着時刻だ。しかし、列車は来ない。今なら晴れているのに。結局、数分遅れてタイフォンを鳴らしながら入ってきたときは、かげってしまった。そして、発車直後に雪原はまた、まぶしいほど輝いた。
晴れから曇り、雪、そして晴れ。
波乱万丈の3日にわたる撮影行の始まりである。
2010-1-9 JR西日本大糸線 頸城大野 キハ52-125 糸魚川行き425D
Nikon D700,AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED,70mm,ISO 200
1/500秒,f8,+0.3段,WB:晴天
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