鉄ある記

鉄道写真を中心に、京都の街角の情景なども写真で紹介していきたいと思います

大糸線紀行2010冬 水墨画の世界 第5姫川橋梁

2010-01-16 | 大糸線紀行

 JR西日本大糸線のキハ52の撮影は、雪の中でまだまだ続きます。
 次は南小谷11時43分着、折り返し11時49分発の428D~427Dを、北小谷-中土の第5姫川橋梁で狙います。
 ここでは8月に深緑、11月には紅葉を背景に撮影しました。ですから、雪をバックに必ず撮ろうと決めていた地点です。列車が来るまで2時間ほどあります。しかし、すでに三脚がぽつぽつと立っています。道路わきには除雪によって雪の壁ができていますが、それほど高くなく、橋梁を見下ろすことができる場所がいくつもあります。

 私も気に入った場所に三脚を立て、カメラをセットします。鉄橋をアップに撮ることも、ロングで撮影することもでき、どのような構図にしようかと悩みます。大糸線はどこも美しい景色の中を走るだけに、構図の取りようもいろいろできます。また、通過の時間に余裕があるため、考える時間もたっぷりあるだけに悩んでしまいます。
 このときもいろいろ考えましたが、アップにすると白っぽくなりすぎると思い、姫川の流れに加えて左手の大きな岸壁を入れることでアクセントにしてみました。

 しかし、ここで困ったのは雪が前から水平に飛んでくることです。降り方はずいぶんやさしくなり、ふわふわという感じです。ですが、これが風に乗って前から水平に来るのです。谷間特有の風が吹いているようです。
 放っておくとレンズにすぐ雪が着いてしまいます。カメラ本体とレンズを覆う防水カバーは持っていましたが、レンズの前をどう防ぐか。キャップをはめると、いちいち取るのが面倒です。ここではたと思い当たったのが、カメラザックのレインカバー。このカバーに本体とレンズがすっぽり入り、助かりました。雪の対策っていろいろ考えないといけないのですねえ。

≪写真上≫
2010-1-10 JR西日本大糸線 北小谷-中土 キハ52-156 南小谷行き428D
Nikon D700,AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED,32mm,ISO 200
1/500秒,f8,+0.3段,WB:晴天

 南小谷行きを撮影すると、すぐに鉄橋のそばに徒歩で移動します。
 今は廃道となった旧道が橋梁のすぐわきにまで行っており、ここが足場になります。先に撮影した人たちの足跡が残っています。これを頼りに立ちます。慎重に歩を運ばないと、姫川の谷底に落ちる危険があるからです。どこまでが道の上か、どこからが雪っぴなのか。雪っぴは外に張り出した雪の塊なので、下手に乗ると崩落するのです。自分の足場は固まっていますが、三脚を立てようとすると、脚の一本がどこまででも沈んでしまい、あわてて後ろに下がりました。

 私の後からもファンが続々とやってきます。
 南小谷行きは分散して撮影できるのですが、折り返しの糸魚川行きを撮るには、この場所がベストなので散らばっていたメンバーが集結したのでした。

 私の左隣に立った方は、着雪した木々が美しいのでトラス2連分のアップで撮ると話されていました。ですが、私は雪覆いのあるトンネルから続く鉄橋の全容を入れて撮影することにしました。
 川の流れ、背後の山の重なりなどを入れたかったからです。

 427Dは定刻より約5分遅れて、エンジン音を轟かせながらゆっくり通過していきました。

 大糸線はきょう16日も朝から大雪のため、運休でした。遠征しようとして残念な結果になった方もおられたと思います。私が降雪の中での写真を撮影できたのは幸運でした。

≪写真下≫
2010-1-10 JR西日本大糸線 北小谷-中土 キハ52-156 糸魚川行き427D
Nikon D700,AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED,32mm,ISO 200
1/500秒,f8,+0.3段,WB:晴天

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大糸線紀行2010冬 降雪をついて

2010-01-16 | 大糸線紀行

 冬のJR西日本大糸線遠征の2日目。大雪を吹き飛ばしながら走ってきた一番列車を撮影後、宿に戻って朝食をとり、再び撮影に出発します。駐車場は相変わらず雪の原のままで、車の屋根などには、またも10センチ以上の雪が積もっています。
 「年末なんか、あっという間に車が屋根まで埋まってたからねえ。きょうなんか楽だよ」
という、宿の肝っ玉母さん風の気のいいおばさんの“励まし”を受け、改めて雪をかき落として今度は車で出発します。めざすのは宮本の神社近くにあるシェードが見える地点です。

 雪は降り続き、やむ気配がありません。しかし、その中でもすでにカメラを構えている人たちがおり、あいさつをして中に入れてもらいます。これだけ激しく降っていると、線路に近付ける場所でないと列車が写りません。皆さん、同様のお考えのようです。

 撮影ポイントから道をはさんだ反対の斜面で、子供たちが数人雪合戦などをしてにぎやかに遊んでいます。地元の子供たちだと思っていたのですが、後で私の横で撮影していた方のお子さんとその友達だとわかりました。その方と私が撮影後に並んで歩いていると「お父さんがきた」と子供たちが言い出したのでわかったのですが、これからスキーに行くとのこと。「スキーに行く前に撮影しに来たというか、スキーを口実に撮影に来たというか」と、その方は笑っておられました。

 さて、この日の1ダイヤは首都圏色のキハ52-156です。雪空の下では明るい色のほうが目立ちますから、この日に限ってはスカ線色のキハ52-125より156のほうが好ましいのです。本当は赤とクリームの115に来てもらいたいのですが、この日も無理なようです。
 列車は定刻よりやや遅れてスノーシェードの向こうから現れました。ズームのテレ側でシェードの向こう、そして出たところでシャッターを切り、さらに引きつけて撮影します。今回もシェードを出たところのカットで少しAFが迷いましたが、すぐ合焦して事なきをえました。
 背後の木々も岩も真っ白で、わずかに木々の幹や枝だけが黒いモノクロームの世界。そこに雪を蹴散らす1両の朱色のキハ52。遠征してよかったなあ、と思う何カットかの一つになりました。

2010-1-10 JR西日本大糸線 中土-南小谷 キハ52-156南小谷行き426D
Nikon D700,AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VRⅡ,70mm,ISO 400
1/640秒,f6.3,+0.3段,WB:晴天

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