徒然小夜

日々の想いを自由気ままに書きつづる
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努力不要論 中野信子 2023.9.7

2023-09-07 08:36:00 | 読んだ本の書評
 学校で何年も英語を学習しているのに話せるようにならない。 当然
戦略が間違っている。日本の学校では英語を話せない人が
実用に向かない机上の受験用英語を教えているので、話せないのは自然なのです。
受験英語はハイスコア狙いのゲームであって、英語をしゃべれるようにする努力とはまったく別のトレーニング。
試験で100点を取るために費やす何百時間を話すトレーニングのために使えば、
あっさり英語が話せる人は激増するでしょう。これは国の戦略、国の努力の方向が間違っている。
英語を話せるようになりたいのに、腕立て伏せを100回しているようなものなので、とんちんかんなことに時間を割いている。
たいていのことは1万時間かければ多くの人が認めるレベルまで持っていけると言われている。
日本語を話せる人(声を出すための筋肉があり、人の言葉を聞く耳があり、日本語を理解できるほどの言語運用能力があるのなら、
機能としては備わっているわけだから、やれば必ずだれでも英語を話せるようになる)
文法を理解する機能が脳にあって、単語をストックできる記憶の領域があって、
文を構成するための領野があって、人間の言葉を話すことを可能にする構音機能があるからです。
ポテンシャルとしては完璧に備わっているのだから、あとはトレーニングだけです。
一方、ロケットもないのに月に行こうというのは不可能です。ロケットがあるというのが才能があるということ。
努力している自分ーーこれは中毒性の高いものです。
ある行為を我慢するという形の努力をすると、ヒトは快感を得ます。すると自己評価が高まってかえって逸脱した行為をしてしまう。
努力は人間をスポイルする
「がんばる」というのは、自分を冷静に見つめる目を失わせる。
努力そのものが楽しくなると、他のことが考えられなくなってしまう傾向がある。
努力すると洗脳されやすくなる。
努力という言葉は人を縛り、無料あるいは安価な労働力として使いたい人間が用いるブラックなレトリックである。
真の努力とは、本当に目的を達成したいのであれば、適切に目的を設定し、戦略を立てて実行すること。
日本人の努力中毒
努力中毒にならないためには、
「自分は今どういう状態なのか」というメタ的な視点で自分を顧みるクセをつけておくことがポイントです。
今やっている努力は
本当にしたいことか
周りに流されてやっていないか
身近な人に洗脳されてしまっているのではないか
社会そのものに洗脳されているのではないか
一歩引いて考える

戦時中
リスキーシフト 戦時中のような状況では過激な意見を言う人がもてはやされる。
素朴な疑問や冷静な意見を言う人が排除される。
無謀な努力を賛美する精神性が、日本の敗戦の遠因となりました。
ヒトは努力より、遊びが必要な生き物である。
ヒマであまり生産しているように見えない人たちの視線や思考は、
目まぐるしく動く社会の表層からは少し離れた所にあり、
実はそこに文化の豊かさや、教養の深さ、未来の社会に資するいろいろな物事のヒントがある。
彼らの考えていること、見ているものを、知的生産物として再評価してみると、高い価値を持っている。
日本人の勤勉さは美しい。なぜ?他者に都合がいいから。
「日々の生活を楽しむ」という遊びの部分を見失ってはいけない。
人間は合理的に行動しない方が自然。
人間以外の動物の方がずっと合理的に行動する。エサを取る。子孫を残す。
一般的に努力するというと、多くの人が注目するのは野蛮な部分になる。すぐに結果が出るかどうかに目が行く。
本当に難しいのは役に立たない部分をリッチにしようとする努力。
これに反論するとすれば、それ自体が野蛮なのだ。
長期的に見て、即座には役に立たないように見えるけれど、心惹かれる事物というのが最も人類の未来に資するものである。
エジプトのピラミッド、中国の莫高窟の壁画、ロシアのボリショイサーカス、ウィーンフィルもゴダールの映画、手塚治虫の漫画も
生きていく上では全く必要のないせいたくなもの。しかし、だからこそ人間そして人類にとって大切なものなのだ。
努力家は野蛮人。
無駄な部分への視線がない人は、ヒトを傷つけることを厭わないものである。
倫理というものは非常に無駄が多い。無駄があることで逆説的に生存に有利になり、子孫が繁栄する。
日本の会社の終身雇用のようないい部分は無駄だということで、切り捨てられ、ブラック企業や追い出し部屋が問題化するなど、
人間をただの労働力としてしか見ないような、おかしな見方が蔓延してしまった。
「労働力を安価に使い、解雇もしやすくしたい」という経営者たちが恣意的に都合にいい部分だけをアメリカの成果主義から切り取って導入した?(中野さんの邪推)
日本人に努力中毒が多い原因は、セロトニントランスポーターにある。
日本人の70%はこれが少ないタイプ。多いタイプは2%くらい。少ない人は心配性、中くらいの人はおおらか、多い人は楽観的。
セロトニンは闘う、ケンカする、逃げるための物質であるノルアドレナリンの分泌を抑える働きがある。
セロトニンが少ないとノルアドレナリンが出やすくなる。
慎重で人の言うことをよく聞き、空気を読むけれども、我慢して我慢してキレてしまう日本人の国民性ができあがる。
日本人は世界で一番心配性で、今ある者の弱点を見つけることに長けている。これほど工業製品の品質が高く、
サービスが行き届いているのはこの性質のおかげ。
自分を痛めつけることを努力だと思っているのが日本人という傾向がある。
フランス人は「楽しんでこそ人生」と思っている。
日本は世界の中ではそれほど格差が大きい社会とは言えない。
日本ほど教育格差のない国は珍しい。

コメント
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