(注)本レポートはHP「中東と石油」の「B10 ExxonMobil社の2008年業績分析」に一括全文掲載されています。
米国の国際石油会社ExxonMobil社の昨年の業績速報が去る1月30日に公表された(注)。同社は世界最大の石油企業であるとともに、その売上高は4,774億ドル(48兆円)という世界最大の企業である。税引き後の利益も452億ドル(4.5兆円)を誇っており、名実ともに世界一の企業と言える。本稿は業績速報による同社の売上・利益額、原油・天然ガス生産量および投資額を分析したものである。
(注)ホームページ:Exxon Mobil Corporation announces estimated record 2008 results
1. 利益の分析:利益の大半を稼ぎ出す海外の上流部門
2008年のExxonMobil社の売上高は477,359百万ドルであり、前年(2007年)に比べ18%の増収であった。2008年7月に原油価格が史上最高の147ドル(バレルあたり)を記録したことに見られるように、年間平均販売価格が前年を大きく上回った結果である。但し次項(2.生産と販売量の分析)で述べるとおり同社の石油及び天然ガスの販売量は07年比6.2%減少しており、減量・増収となっている。
税引き後利益(U.S. GAAP)は45,220百万ドル、前年比11.4%増となり、売上高利益率9.5%である。特別損失1,160百万ドルを除く44,060百万ドルの部門別内訳は、上流部門(Upstream)33,782百万ドル、下流部門(Downstream)8,151百万ドル、化学部門(Chemical)2,957百万ドル、財務部門(Corporate and financing)マイナス830百万ドルである。上流、下流及び化学3部門の構成比は、上流部門75%、下流部門18%、化学部門7%となっており、ExxonMobil社の利益の4分の3は上流部門が稼ぎ出している(図1参照)。
前年度の部門別利益と比較すると、上流部門の利益は前年の26,497百万ドルより28%増加しているのに対し、下流部門は-15%、化学部門は-35%といずれも大幅な減益となっている。07年の利益に上流部門が占める割合は65%であったが、08年にはその割合が10ポイント大きくなっており、同社にとって上流部門が稼ぎ頭となっていることが明確に示されている。財務部門の損失830百万ドルを除く利益(44,890百万ドル)を米国とそれ以外の地域別に分析すると、米国内の利益は8,616百万ドル、米国以外のそれは36,274百万ドルであり、国外での利益が8割を占めている。また地域別の利益は07年に比べ、米国内の利益が15%減少し、一方米国外の利益が19%増加している。以上のことからExxonMobil社はその利益の大半を海外の上流部門で稼ぎ出していることがわかる。
(続く)
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