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現地記事転載:「トルコとイスラエルの代理戦争の舞台になったシリア」(下)

2025-03-21 | 現地紙記事転載
(原題) Turkiye and Israel face mounting tensions over future of post-Assad Syria
2025/3/15 Arab News (by AP)

 

トルコとイスラエルはかつては緊密な同盟国だったが、トルコのエルドアン大統領の20年以上の統治下では、深刻な緊張関係にある。エルドアン大統領はイスラエルの対パレスチナ政策を公然と批判しており、イスラエルはエルドアン大統領がハマス武装集団を支援していることに憤っている。イスラエルはハマスをテロ組織とみなしている。

ガザ戦争後、トルコはイスラエルの軍事行動を強く非難し、イスラエルとの貿易関係を断つと発表し、国連国際司法裁判所で南アフリカがイスラエルに対して起こした大量虐殺訴訟に加わった。アイディンタスバス氏は、トルコ当局はイスラエルが「クルド人、ドゥルーズ派、アラウィー派の自治要求を支持している」ことにますます懸念を抱いていると述べている。エルドアン大統領は先週、イスラエルに対して「シリア国内の民族的・宗教的分裂を煽り、国内の不安定化を利用しようとする者は、目的を達成できないと知るべきだ」と、脅しをかけている。

先週、親アサド派グループがシリア沿岸部の政府治安部隊を攻撃した後、新シリア政府と同盟を組む派閥(一部はトルコの支援を受けているとされる)がアサドの少数派アラウィ派のメンバーに報復攻撃を開始した。監視団体によると、数百人の民間人が殺害されたという。

エルドアン大統領は暴力行為を強く非難し、攻撃は、シリアの領土保全と社会の安定を狙ったものだと示唆し、イスラエルのハスケル外務副大臣は、死傷者を出した宗派間の暴力行為は、トルコの支援を受けたイスラム主義グループによる「民族浄化」に相当すると述べた。

イスラエルのシリアへの関与は深まっており、宗派間の緊張が高まる中、同国はシリア南部のドゥルーズ派コミュニティへの保護と経済援助を約束している。小さな宗教宗派であるドゥルーズ派は、シリアのダマスカスにあるイスラム主義主導の新政府とイスラエルの間に挟まれている。

多くのシリア人はイスラエルを、ドゥルーズ派の窮状を利用してこの地域への介入を正当化する敵対的な隣国と見ている。イスラエルは、シリア南部のドゥルーズ派に食糧支援トラックを送り、シリアのドゥルーズ派の一部がゴラン高原のイスラエル支配地域に渡って働くことを許可していると述べた。

アルシャラー暫定大統領は、当初イスラエルに対して融和的であったが、カイロで最近開かれたアラブ連盟の緊急会議での演説で、同氏はイスラエルの「攻撃的な拡張はシリア主権の侵害であるだけでなく、地域全体の安全と平和に対する直接の脅威でもある」と述べた。

ブルッキングス研究所のアイディンタスバス氏は、高まる緊張は深刻な懸念の原因であり、「以前は、イスラエルとトルコは時折口論をしていたが、安全保障関係を他のすべてから切り離すことができた。しかし現在、両国は積極的に互いを弱体化させようとしている。問題は、これらの国々が互いのレッドラインを知っているかどうかだ」と語っている。

以上

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