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http://mylibrary.maeda1.jp/0564ImfWeoJuly2022.pdf
2. 2021年~2023年のGDP成長率
主要な経済圏と国家の昨年(実績)、今年(見込み)及び来年(予測)のGDP成長率の推移を見ると以下の通りである。
(プラス成長だが2年連続で低下する成長率!)
2-1主要経済圏
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)
全世界の3年間の成長率は6.1%(2021年実績)→3.2%(2022年見込)→2.9%(2023年予測)であり、昨年は景気回復の兆しが見られたが、今年及び来年はエネルギー価格の高騰、ウクライナ危機等により世界経済が大きく混乱すると考えられ、成長率は低迷する見通しである。
ウクライナ危機の影響を最も大きく受けるのはEU圏である。3年間の成長率も5.4%(2021年実績)→2.6%(2022年見込)→1.2%(2023年予測)であり、急激に成長率が鈍化すると見込まれている。ASEAN5カ国の成長率は3.4%(2021年実績)→5.3%(2022年見込)→5.1%(2023年予測)であり、2021年は世界平均或いはEU圏を下回ったが、今年から来年は回復し、世界の成長センターになる勢いである。
中東及び中央アジアは産油・ガス国が多く、エネルギー価格の高騰により昨年は高い成長率(5.8%)を示している。今年及び来年の成長率は4.8%及び3.5%で、年々低下する見通しである。但しそれでも世界平均或いはEU圏を上回っており、IMFはウクライナ情勢を織り込んでエネルギー価格が引き続き高値に推移すると見ている。
(今年▲8.5%の大幅なマイナス成長になるロシア!)
2-2主要国
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
米国の昨年の成長率は5.7%であったが、今年(2.3%)、来年(1.0%)と連続して成長が鈍化する。中国は8.1%(2021年実績)→3.3%(2022年見込)→4.6%(2023年予測)であり、今年から来年には成長率が回復するものの、ごく最近まで二桁台の成長率を誇っていた頃に比べるとかなり低い。日本は1.7%の低成長が続くと予測されている。中国とならぶ経済大国インドの成長率は8.7%(2021年実績)→7.4%(2022年見込)→6.1%(2023年予測)であり、高い成長を維持する見込みである。
中国、インドなどと共に新興経済国BRICsの一翼を担ってきたロシアの成長率は対照的な様相を呈している。昨年(2021年)こそは4.7%の成長率を示したが、今年は一転して▲6.5%の大幅なマイナス成長が見込まれ、来年も▲3.5%であり、比較した国の中では唯一マイナスが続くと予測されている。ウクライナへの軍事介入が同国の経済に極めて深刻な影響を及ぼすことは間違いなさそうである。産油国サウジアラビアの3カ年の成長率は3.2%(2021年実績)→7.6%(2022年見込)→3.6%(2023年予測)であり、原油価格上昇の恩恵を受けている。
(続く)
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