石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2021年版解説シリーズ20(天然ガス貿易篇6)

2021-08-27 | BP統計

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0539BpWorldEnergy2021.pdf

 

(4) 天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)

(ロシア、米国、カタール3カ国で世界シェア40%!)

(4-1)2020年国別輸出量 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G02.pdf 参照)

 2020年のパイプライン(以下P/L)とLNGを合わせた天然ガスの輸出(入)量は世界全体で1兆2,438億㎥であった。輸出量トップはロシアの2,381億㎥であり、内訳はP/Lによるものが1,977億㎥、LNGが404億㎥であった。世界の輸出全体に占める同国の割合は19%である。これに次ぐのが米国の1,375億㎥であり、内訳はP/Lによるものが761億㎥、LNGが614億㎥であった。第4位はカタールの1,279億㎥で、内訳はP/Lが218億㎥、LNGが1,061億㎥であった。これら3カ国が天然ガスの三大輸出国であり、合計シェアは世界の40%に達する。その他の主な輸出国はノルウェー、オーストラリア、カナダ、アルジェリアなどである。

 

(中国が世界一、LNG100%の日本、パイプライン100%のドイツ!)

(4-2)2020年国別輸入量 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-3-G01.pdf 参照)

 一方輸入国としては中国が1,391億㎥と最も多く、次いで日本とドイツが共に1,020億㎥である。但し両国の輸入形態は対照的であり、日本がLNG100%に対し、ドイツはパイプライン100%である。輸入量が1千億㎥を超えるのはこの3か国だけであるが、3カ国の合計シェアは28%にとどまり、輸出量上位3か国のシェア(40%)に比べかなり小さい。輸出は少数の国に握られ、輸入は多くの国が群がっていることが読み取れる。

 

輸入国の順位では2017年まで日本が世界第1位であったが、2018年に中国がトップになっている。中国の輸入は今後も日本を上回るペースで増加すると考えられ、同国が世界一のガス輸入国として定着することは間違いない。第4位以下は米国(695億㎥)、イタリア(629億㎥)、メキシコ(568億㎥)、韓国(553億㎥)と続いている。なお既述のとおり米国は隣国のカナダあるいはメキシコとパイプラインによる相互貿易を行っていることもあり、世界2位の輸出国であると同時に世界第4位の輸入国でもある。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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