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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(10完)

2020-07-19 | その他
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)
http://mylibrary.maeda1.jp/0509WorldRank9.pdf

3.FDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高) (続き)
(驚異的に増えたインドの残高!)
(2) 1990~2019年末のFDI Outward Stock (FDIアウトバウンド残高)の推移
(図http://rank.maeda1.jp/9-G04.pdf参照)
 ここでは1990年末から2019年末までの全世界並びに主要経済大国(米国、中国、日本、インド)及び中東3か国(サウジアラビア、トルコ、イラン)のFDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高)の推移を概観する。

 世界全体の1990年末のFDIアウトバウンド残高は2.2兆ドルであった、その後2000年末には3.3倍の7.4兆ドル、2010年末には20.4兆ドルに増加、2019年末の残高は34兆ドルを超えている。全世界のFDIアウトバウンド残高は1990年から2019年までのほぼ30年間に15倍に膨張している。
 
 国ごとに見ると世界最大の規模を誇る米国は1990年末の残高7,300億ドルが2000年末には4倍の2.7兆ドルに急増、その後も残高は順調に増え2019年末の残高は7.7兆ドルに達している。1990年からの30年間の伸び率は11倍であった。

 日本のFDIアウトバウンド残高は、2,000億ドル(1990年末)→2,800億ドル(2000年末)→8,300億ドル(2010年末)→1.8兆ドル(2019年末)であり、30年間の伸び率は世界平均(15倍)を下回る9倍である。これに対して中国の残高の推移は、50億ドル(1990年末)→280億ドル(2000年末)→3,200億ドル(2010年末)→2.1兆ドル(2019年末)であり、過去40年近い間に470倍と大幅に増えている。中国を上回る規模で残高を増やしているのがインドである。1990年にわずか1億ドルに過ぎなかった同国のFDI Outward Stockは2010年には970億ドルに膨張、さらに2019年末には1,800億ドルに達している。2019年末の残高は1990年末のそれの1,440倍という実に驚異的な伸びである。

 サウジアラビア、トルコ及びイランの中東3か国を比較すると、1990年末の残高はサウジアラビア23億ドルで、トルコはサウジアラビアの2分の1の12億ドル、イランは2か国よりずっと低く1億ドル未満であった。その後3か国とも残高は大きく伸びたが、特にサウジアラビアの伸びが目覚ましく、23億ドル(1990年末)→53億ドル(2000年末)→265億ドル(2010年末)→1,230億ドル(2019年末)と2000年以降の伸びが目覚ましい。トルコも1990年末の12億ドルから2010年末には230億ドルとサウジアラビアとほぼおなじペースで増加したが、2010年以降は増加が鈍り、2019年末の残高はサウジアラビアの4割にとどまっている。イランは全期間を通じて残高はさほど増加せず2019年末のアウトバウンド残高は40億ドルにとどまっている。

以上

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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