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http://mylibrary.maeda1.jp/ImfWeoOct2019.doc.pdf
(世界の大半の地域と国で下方修正された成長率!)
2.前回(2019年4月)と今回(2019年10月)の比較
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1) 世界および主要経済圏の比較
上述のとおり今回(WEO2019Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2019年)が3.0%、来年(2020年)は3.4%である。これに対して前回(WEO2019Apr)の見通しでは今年が3.3%、来年は3.6%である。本年は0.3%、来年は0.2%と両年ともに下方修正されている。
2019年の見通しについて主要経済圏を前回と比較すると、G7は前回(2019Apr)、今回(2019Oct)ともに1.6%と変わらない(厳密には前回が1.648%、今回が1.626%でわずかながら低下している)。その他の経済圏についてもEU(1.6%→1.5%)、ASEAN-5(5.1%→4.8%)といずれも下方修正されている。米中貿易摩擦による世界景気の停滞などが影響していると考えられる。
主要経済圏の来年(2020年)のGDP成長率の見通しについては、G7は今回が1.6%、前回は1.5%で成長率がわずかながらアップすると見込まれている。これに対してEUは前回の1.7%が今回は1.6%に、またASEAN-5も5.2%→4.9%といずれも成長が下方修正されている。
(2)主要国の比較
今年の成長率については米国は前回2.331%、今回2.35%とほとんど変わらない。これに対して中国は前回(2019Apr)の6.3%から今回(2019Oct)は6.1%に鈍化すると予測している。また日本も1.0%から0.9%に下方修正されている。その他の国の多くもロシア(1.6%→1.1%)、インド(7.3%→6.1%)に成長率は鈍化している。中東諸国についてはサウジアラビア、UAEのほかイランも下方修正され、特にイランの今年の成長率は▲6.0%から▲9.5%へ大幅な悪化が見込まれている。一方でトルコ(▲2.5%→+0.2%)、イラク(2.8%→3.4%)など成長が上向いている国も見受けられる。
来年(2020年)の成長率を前回と今回で比較すると、下方修正した国が上方修正した国をやや上回っている。2020年の成長率が前回より上方修正された国は、米国(1.9%→2.1%)、ロシア(1.7%→1.9%)、サウジアラビア(2.1%→2.2%)、トルコ(2.8%→3.0%)などの国々である。一方下方修正された国は中国(6.1%→5.8%)、インド(7.5%→7.0%)、韓国(2.8%→2.2%)、UAE(3.3%→2.5%)などである。日本は前回見通し(0.45%)、今回見通し(0.466%)とほとんど変わっていない。
(続く)
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