(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」に一括掲載されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0173SuperMajors2010.pdf
IV.三大国際石油企業の業績比較(下)
2.2006~2010年の石油・天然ガス生産量の比較
(1)石油生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93lExxonShellBpOilProd06-10.pdf 参照)
2006年の石油生産量はExxonMobilが最も多く2,681千B/Dであり、BPがこれに次ぐ2,475千B/D、Shellは3社の中で最も少ない2,030千B/Dであった。この順位は2008年まで変わらなかったが、この間BPとExxonMobilの差は縮まり、一方BPとShellの差は拡大した。そして2009年にはついにBPの生産量が3社の中では最高の2,535千B/Dとなり、ExxonMobilは2,387千B/D、Shellは1,680千B/Dであった。Shellの生産量はトップのBPより855千B/Dも下回り、またExxonMobilとは707千B/D少なかった。
2010年にはExxonMobilの生産量が前年より増加したのに対し(2,422千B/D)、BPは対前年比で生産が減少したため(3,822千B/D)再びExxonMobilが3社のトップとなった。Shellは5カ年を通じて常に3位であるが、2009年まで4カ年連続して下落した生産量は(2,030千B/D→1,899千B/D→1,771千B/D→1,680千B/D)、2010年には上向いて1,709千B/Dとなり、長期低落傾向に歯止めがかかったようである。
(2)天然ガス生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93mExxonShellBpGasProd06-10.pdf 参照)
2006年から2009年までの4年間は3社の天然ガスの生産量に大きな開きはなかった。即ちこの間の各社の生産量は、ExxonMobilが9,334mcfd(06年)→9,384mcfd(07年)→9,095mcfd(08年)→9,273mcfd(09年)であり、Shellは8,368mcfd(06年)→8,214mcfd(07年)→8,569mcfd(08年)→8,483mcfd(09年)、BPは8,417mcfd(06年)→8,143mcfd(07年)→8,334mcfd(08年)→8,485mcfd(09年)であった。ExxonMobilは他の2社より8~10億cfd多く、ShellとBPは殆ど差がなかった。
しかし2010年にはExxonMobilのガス生産量は対前年比で31%の大幅な伸びを示して100億cfdを突破(12,148mcfd)、またShellも10%増加した(9,305mcfd)。一方、BPは3社の中で唯一前年の生産量を下回っている(8,401mcfd)。ExxonMobilは積極的なM&Aで生産増を図る一方、BPはメキシコ湾事故の対応に追われ天然ガス鉱区の売却を余儀なくされており、両者の明暗がくっきりと分かれたのである。
(3)石油・天然ガス合計生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93nExxonShellBpO+GProd06-10.pdf )
天然ガスを石油に換算し合計した生産量は上記(1)の石油生産の推移とほぼ同じ傾向を示している。即ち06年~08年までトップであったExxonMobilは、09年にはわずかな差でBPを下回ったが、2010年には再びトップに戻っている。そしてShellは2009年までの長期低落傾向に歯止めがかかり2010年には対前年比で15万B/D増加して2007年の水準に戻している。これに対しBPは2007年から3年間連続して生産量をアップしたが2010年には対前年比で減少しており、他の2社が増加していることと対照的である。
各社の06年から10年までの生産量の推移は以下のとおりである(単位:千B/D)。
ExxonMobil: 4,237 → 4,180 → 3,921 → 3,932 → 4,447
Shell: 3,473 → 3,315 → 3,248 → 3,152 → 3,314
BP: 3,926 → 3,818 → 3,838 → 3,998 → 3,822
(完)
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