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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

三大国際石油企業2009年度業績速報シリーズ

2010-02-04 | 今週のエネルギー関連新聞発表

I.ExxonMobilの業績(上)

ExxonMobil、Shell及びBPは三大国際石油会社(International Oil Company, IOC)或いはスーパー・メジャーと呼ばれているが、これら三社の昨年第四四半期及び通年業績が相次いでホームページに公表された。

 本稿では三社の公表資料の中から2009年度の売上高、利益、石油及び天然ガスの生産量並びに探鉱開発投資額を取り上げて分析するとともに、過去4年間(2006~2009年)の各社の業績の推移を見ることとする。そしてシリーズの最後に三社を横並び比較し、その優劣を検討して見る。

  最初に取り上げるのはExxonMobil社である。(詳細は同社HPを参照)

1.2009年の売上・利益・投資及び生産量

 (1)売上高

 ExxonMobilの2009年1-12月の売上高は310,586百万ドルであり、前年度の売上477,359百万ドルに比べ35%という大幅な落ち込みであった。後述するように石油及び天然ガスの生産量はむしろ前年をわずかながら上回っており、売上高減少は石油価格の下落によるものである。

 即ち2008年は年初にバレル当たり100ドル(NYMEX原油価格、以下同じ)を突破し、7月には史上最高の147ドルを記録、その後年末には30ドル台まで暴落したが、同年の年間平均価格は100.06ドルの高値となった(BP統計資料による)。これに対し昨年は年初の30ドル強から年末には70ドル台まで回復したものの年間平均価格は2008年に遠く及ばず、この結果ExxonMobilの売上高も大幅に減少したのである。

(2)利益(上図参照、拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-4-93a.gif

 利益は19,280百万ドルであった。これは前年度(45,220百万ドル)の1/2以下であり、売上の落ち込み以上の悪い結果となった。とは言え利益額は日本円で1.9兆円程度に達し、景気後退に見舞われ金融、メーカー、サービス業を問わず大幅な赤字に陥る世界の企業が多い中で、国際石油企業の強靭さを見せつけたと言えよう。

 利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売)に分け、さらにそれぞれを米国内と米国外に分けて比較すると、まず最も利益が多かったのは米国外の上流部門であり、全体の利益の3/4の14,214百万ドルを稼ぎ出している。これに次ぐのが米国内の上流部門で利益額は全体の15%、2,893百万ドルであった。これらを足し合わせると同社の利益の実に9割は上流部門によるものであることがわかる。 

 これに対し下流部門はExxonMobil全体の利益の10%を占めるにすぎず、米国外で1,934百万ドルの利益を出したものの、米国内では逆に153百万ドルの赤字を計上している。同社は海外の上流部門の利益に依存していると言える。

(3)設備投資

 2009年度の設備投資総額は27,092百万ドルであり、同社は利益額(上述)を上回る積極的な投資を行っている。投資を上流部門、下流部門、化学部門およびその他に分けると、上流部門には全体の3/4を占める20,704百万ドルが配分されている。利益の源泉である上流部門に重点的な投資が行われていることがわかる。

(4)石油・天然ガスの生産量

 2009年の石油と天然ガスの生産量は石油が一日当たり平均239万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産93億立法フィート(以下億cfd)である。石油の生産量はほぼイラクに匹敵する生産量であり、天然ガスはノルウェーと同程度である。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は393万B/Dとなるが、この生産量はUAEを上回る規模である。

 石油生産量を地域別にみると、最も多いのはアフリカの69万B/Dであり、続いてアジア・大洋州49万B/D、米国と欧州がそれぞれ38万B/Dである。また天然ガスについては欧州が最も多く(37億cfd)、次いでアジア・大洋州(35億cfd)であり、この両地域で全生産量の77%を占めている。

(続く)

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前田 高行

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