Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

自販機下から、トカレフ

2015-08-02 05:44:47 | コラム
先日の深夜―。
酔って帰還した自分は家で淹れるコーヒーではなく缶コーヒーを飲みたくなって、団地のそばにある自販機までふらふらと歩いていった。

BOSSのコーヒーを買い、取り出し口に手をやると、BOSSのほかに2本の缶ジュースが入っていた。

先客の、取り忘れ?

1本なら分かるが、2本も?

怪しい。
毒入りドリンクかもしれない。

・・・と一瞬だけ考えてみたが、酔っているから思考能力が落ちているし・・・というのはイイワケか、持ち前の? 貧乏根性が最大限に働いてしまい、次の瞬間にはプルタブを開けて口につけてしまったのだった。

・・・・・。

うん、なんともない。

こりゃラッキーだ、残り1本はあとで飲もうと部屋に戻った。

こういうヤツが、いろんなことに簡単に騙されてしまうのだろうね~。


約20年前のことを記してみる。
時効だと勝手に決めて明かすことだから、みんな、どうか責め? ないでね。

そのころ自分は『マカロニほうれん荘』みたいなアパートに住んでいた。

アパートの前に、サントリーの自販機があって。
深夜2時ころ、煙草を吸いながらその前で缶コーヒーを飲んだものである。

その日も同じように煙草をくわえて缶コーヒーを買おうとしたら、取り出し口からコントローラーのようなものが顔を出していた。

なんだこれ?

と思ってボタンのひとつを押してみると、ペプシが出てきた。

!!!

ちがうボタンを押してみたら、こんどは缶コーヒーが。

なるほどそういうことか。
悪いヤツが居て、取り出し口の奥を探り、コントローラーを引っ張り出したのだろう。
ソイツの目的は飲料にはなく、金にあったにちがいない。
(だから現在の自販機は、2ドアになったのだ)


周囲を見回してみる。

町田の山の奥だから、しんと静まり返っている。

自分は部屋に戻って、洗濯用に使っていたスーパーの買い物カゴを持ち、再び自販機前に。

ここまで書けば、もう分かるだろう。
自分はあらゆるボタンを押しまくり、約50本の飲料水をネコババしたのであった。

ん?

買い物カゴに、50本も入る?

馬鹿め、2往復したのだワハハ。

時間にして5分程度の犯行。
その後、キレイに指紋を拭き取っているのだから抜かりないといえば、抜かりない。

けれども基本がビビリ屋気質である、どこかで誰かが見ていたかもしれないし、これは罠かもしれない。
冷蔵庫に50本の缶ジュースは、いかにも怪しい。

証拠隠滅だ!!

と、喉も渇いていないのに一気飲みを繰り返し、その日だけでほとんどを飲んでしまったバカチンなのであった。

もちろん何日経っても何ヶ月経っても警察は現れなかった。
現れなかったが、その代わり、その自販機の取り出し口は2ドアになった。


冒頭で記した「2本の缶ジュース」の件でこのことを思い出したのだが、自販機文化の隆盛がつづく日本ならではのエピソードなのかもね、ふたつとも。

自販機の下からトカレフが出てきた―という嘘みたいな設定から面白い物語を紡いだのは、阪本順治の『トカレフ』(94)だった。

海外ウケのいい阪本映画、しかしこれは評価されなかったというが、この文化を解さないと、なかなか入り込めない物語だったのかもしれない。





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明日のコラムは・・・

『SEKAI NO OWARI』

コメント (2)
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