をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

映画「終着駅」

2006年01月28日 | 映画
今日もまたトリュフォーの映画です。
題名からすると重い恋愛劇のように思えます。
実際、カトリーヌ・ドヌーブド・パルデューの恋愛劇なのですが…。
でも、実際は第2次大戦末期、ドイツに占領下のフランス、演劇人を通して解放までを描いた映画なのでした。

ドヌーブは劇場の看板女優で、その旦那の演出家はユダヤ人のため国外亡命したことにして地下室に隠れています。地下室から舞台の様子を聞いて、妻に演出するのです。ちょっと江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」っぽいですが、そこはトリュフォーなので、軽妙であまり切迫感もありません。
で、相手役がド・パルデューなのですが、若いうえにスリム! 今の岩のような動きにくそうな風情は嘘のようです。で、芝居をするうち若者は人妻である看板女優を愛してしまうが、人妻は避けるてなことですね。
でも、ひょんなことから旦那が地下室にいることを若者に打ち明け、その際、旦那は若者に、「妻が君を愛しているから守りぬけるか」という急展開に。なんか、この旦那さんとぼけた味なんだよなー。

ここで際立つのがイヤミーな批評家の存在。哀れな末路を送ることはラストで明かされるが、占領軍におもねっていて、辛らつな舞台評を書いたため、若者に殴られるのだ。この一件で若者は役を降り、レジスタンスへ。
そして、ノルマンディー上陸でフランス解放。
で、三角関係はどした? と本題に戻ると、病院へ負傷兵の若者を人妻が尋ねてくる。「夫も女優も捨てて、あなたと一緒に…」「それはできない」なんてシリアスな問答を真剣に見ていたら、なんと、アンタ、劇中劇という鮮やかな展開!
しかも、エンドロールはコメディっぽい雰囲気。
「日曜日は待ち遠しい」もそうだったけど、シリアスな内容なのに軽妙なタッチというのがなんか心地よいトリュフォーの映画でした。
コメント
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