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をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

Foujita (映画)

2015年11月08日 | 映画
(c)2015「FOUJITA」製作委員会/ユーロワイド・フィルム・プロダクション(東京国際映画祭にて)


映画 「Foujita」

フランスはパリで活躍した日本人画家、藤田嗣治の人生を、オダギリジョー主演で小栗康平監督が描いた作品。

前半は、すでに知名度を得たパリ時代の藤田の姿。画家仲間やモデルたちとの享楽的な馬鹿騒ぎを描きながら、エコールドパリ、そしてモンパルナスの時代の雰囲気を醸し出す。
後半は、映像は日本に戻り、画家たちの協会の会長となっている藤田が戦時中の暗く沈んだ空気の中で、静謐な佇まいで登場する。

画風の質も対照的。前半は白い肌をことさらに強調した裸婦像。有名なモデルのキキがオランピアのように横たわっている画や3人の裸婦が立っている画などはどこかで見たことがあるのではないだろうか。
対して後半は、名もなき多くの兵士たちが斃れている戦争画となる。

そして、藤田はどうなったのであろうと思わせるような淡々としたラスト。

彼の心の中でどのような気持ちの整理がつけられていたのか…と思ううちにエンドロールになった。

11/14より公開

アクトレス~女たちの舞台~ (映画)

2015年09月27日 | 映画
映画「アクトレス~女たちの舞台」

ジュリエット・ビノシュ主演のこの映画。タイトル通り、ある有名女優をめぐる物語といったところか。
まずは、ある賞を受賞した作家の代わりに、授賞式の行われるスイスのある地に向かう有名女優の姿から始まる。彼女は若い頃、この作家の作品で主役を演じたことにより、今の大女優の地位があるということが分かってくる。その作品そしてタイトル名が、今回のキーワードになっている。

前半は、その作品を何十年ぶりに演じてほしいと若い演出家から懇願され、悩む女優の姿が描かれる。悩みのもとは、若い頃に自分が演じた主人公役ではなく、現在の年相応の年配の会社社長役。主人公役は奔放で魅力のある役どころ。それに対し、オファーされた役は主人公に翻弄される普通の中年女だということ。

そこに若い秘書が、今回主人公役をオファーされている新進女優についての破天荒な私生活と、対する演技を大女優にぶつけ、刺激を与える。
若い秘書とのその舞台の練習シーンが始まる。徐々に劇の練習か、現実に本音をぶつけ合っているのか、段々その差が見えなくなってくる構成が上手い。

前半の最後、2人が川か湖で水遊びをするシーンがある。ここでジュリエット・ビノシュが一糸まとわぬ姿になるのだが、それはもうアクトレスと言うより、でっぷりと体がたるんだおばさん。「キャー大胆」とか、「セクシー」などとは全然頭に浮かばない。温泉場のおばちゃんの体といったらいいだろうか。

それが後半、ガラッと変わる。髪をショートカットにして、パンツスーツを着こなしたジュリエット・ビノシュはまるで前半とは別人のよう。絞り込んだ体型や洋服、立ち居振る舞いはマニッシュで中性的な魅力が漂う。
すでに、劇は初日を迎えるところらしい。

最後に観終わって、凝った構成なのだなと分かる。そして、アクトレスというテーマを様々な工夫をして見せてくれた映画だと思う。
芝居好きとしてはとても興味深く、面白く観た。


監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ
2014年/フランス・スイス・ドイツ・アメリカ・ベルギー/124分/DCP/シネスコ/5.1ch
配給:トランスフォーマー
2015年秋、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

ビッグゲーム 大統領と少年ハンター(映画)

2015年07月05日 | 映画
映画「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」

少年がひょんなことから大人を助け、自身も成長していく。
こういったストーリーの映画は昔からよくありますが、つい見てしまいます。
これもその1本。

一見、米国大統領の危機を救う! とくれば、米国舞台の映画と思いきや、北欧フィンランドの雄大な自然を背景に、ちょっと日本人似ともいえるフィンランドの男の子が大活躍する映画なんですね。
1人前のハンターになる儀式、たった一人での鹿撃ちに山へ向かう少年。弓矢も力不足で射ることができないが、尊敬を集める猟師である父を目指す負けん気だけは一人前。
そんな少年が山中で出会うのが、合衆国大統領。演じるのがサミュエル・L・ジャクソンと聞いたときは、普段アウトローな役が多いだけに「似合わない」と思ったが、だらしなくたよりない大統領と聞いて、納得。

そんな大統領を助けるだけではない。追ってくる悪漢たちをかわして逃げなければならないのだ。
果たしてどうなる!?

もちろん、こういう映画にありがちの、そんなばかなというシーンもあるが、気にせずお気楽に楽しめました。
大統領のおとぼけと渋面の少年のコンビもいいね!

8月15日より全国ロードショー
公式URL http://biggame-movie.jp/

本日のNHK「まれ」 編集チェックしたの?!

2015年07月04日 | 映画
今日は映画じゃなくてTVの話。

朝ドラの「まれ」を観ていたら、今日は主人公が結婚するかしないかの山場のシーン。
そこで画面に注目していたら、なんと、
まれの髪の毛が額から頬にかけて一束垂れていたのに、次のカット割りではその束はなく、きっちりした髪型に。

まあ、1回くらいならと気に留めなかったら、何度もカット割が入り、そのたびに髪の毛の束があったりなかったり!!
これは興をそがれました!
いろんな角度から撮ることで、主人公の気持ちを表そうとしたのだろうけど、別々に撮ったのをつなぎ合わせたのをいかに同じ時空で動いているかのように編集するのがプロの仕事。なんできちんとチェックしなかったのかな~。
とても残念に思いました。

ハンガーゲームFINAL レジスタンス

2015年06月21日 | 映画
映画「ハンガーゲームFINAL レジスタンス」

アメリカの作家スーザン・コリンズ原作の「ハンガー・ゲーム」1作目からはや3作目。
1作目公開時は日本の某映画のマネだとかいろいろ言われたが、主演のジェニファー・ローレンスの存在が大きく、何だか壮大な話に。
ジェニファーはアカデミー主演女優賞を獲った「世界にひとつのプレイブック」での演技も良かったが、もっと前(2011年)の「ウインターズ・ボーン」での演技が、実に良かった。閉鎖的で暴力的な田舎町の少女の役で、失踪した父を探すのだが、それを事情を知る大人に殴られたり阻まれたりする役で、なかなかハードな内容だった。
このときの毅然と立ち向かう感じがこの女優の持ち味となるだろうと予感した。そしてこの作品にも本人のその側面が発露しているように思われる。

本編では、カットニスが故郷とはまた違うある地区に匿われている。その地区は女性の首相の下、軍備を整えていた。
そしてピーターは首都に囚われ、奪還を決意したカットニスは再びアイコンとして「マネシカケス」となることを決意する…。

そしてラストええっ!ここで終わり? そうなんです。「ファイナル」といいつつ、これは前編。
後編となる4作目があるそうな。
「トワイライトサーガ」や某邦画といい、最近の映画、このパターンが多いなー。