廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

セシル・テイラーを聴きながら街を歩くと

2021年12月29日 | Free Jazz

Cecil Taylor / Garden Part 1, 2  ( スイス hat ART CD 6050, 6051 )


街中の雑踏を歩いている時に、ふと、セシル・テイラーを聴きたくなる時がある。
人々の歩く足音や交わす会話、車の行き交う音などの無軌道な交差がそう思わせるのかもしれないし、そういう雑音の背景にある虚無感
のようなものに重なるものがあるからなのかもしれない。

そういう時のためにiPodに音源を入れて常に持ち歩いているのだけれど、彼のCDは意外と入手が難しく、好きな作品でも手に入らない
タイトルがたくさんある。この "ガーデン" は好きなアルバムだが、そもそもCDが出ているということを知らなくて、これはレコードで
聴くしかないものとばかり思い込んでいた。ところがひょんなことからPart1が転がっているところに遭遇して軽い衝撃を受けた。
いささか高値が付いていたが、文句を言う間もなくレジへと向かった。

その後、Part2を探す羽目になったが、これがなかなか見つからない。送料を払うのがバカバカしいので、リアル店舗で根気よく探して
半年ほどしてようやく手に入った。レコード漁りが壊滅的な状況の中、今年意志を持って探した唯一の音盤がこれだったと思う。

音が良く、何の不満もなく楽しめる。ライナーノートを読んで元々デジタル録音だったことを知り、なるほどと思った。
アナログ盤よりもひんやりとしてキリッと締まった音が何より好ましい。

街の喧騒の中で聴くセシル・テイラーの打鍵はより鋭く耳に響き、風景とよくマッチすることを再確認した。



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