廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

フリーな安レコ

2017年09月16日 | Free Jazz
モンクのレコードにうつつを抜かしていた間にも、安レコ漁りはボチボチとやっていた。 モダンの合間を縫って、フリーにも偶に出物がある。
フリーも有名どころになるとオリジナルの値段は高く、バカバカしくてそんなのは買えないから聴くこともなくこれまではやり過ごしてきたけど、
足で探せば拾い物が見つかる。



Cecil Taylor / Indent  ( 日 King Records K18P 9393 )

ずっと聴きたかった盤だけど、初版はそこそこの値段が付くので手を出しあぐねていたところに国内盤がワンコインで転がっていた。 この時代の作品は
CDの音がダメなので、レコードで聴きたかった。 セシル・テイラーがソロに転向したのは菅野沖彦氏が録った日本録音が契機と言われることがあるけど、
それは間違いで、これが本格的なソロ活動の第一弾になる。

ミディアムテンポのシックな演奏から始まり、やがて激情と抒情が入り乱れる打鍵の舞へと進んで行く。 圧巻の演奏で素晴らしい。
国内盤でも音質は良好で、何の問題もなく愉しめる。




Anthony Braxton / 3 Compositions Of New Jazz  ( 米 Delmark Records DS-415 )

ブラクストンのデビュー作で、訳の分からないタイトルの曲名が並ぶ。 現在の耳で聴くと、時代を先取りしなきゃ、という強迫観念に囚われているようなところが
透けて見える感じがする。 うるさいところはまったくなく、非常に聴きやすい。 でも、これはブラクストンの本音じゃない、と感じる。




Steve Lacy / Lapis  ( 日本コロンビア YQ-7014-SH )

これもオリジナルは1万円を超える値段が付いて、買う気にはなれず放置してきた。 レイシーがフランスで一人ソプラノやパーカッションやテープ録音された
素材を使って作り上げた。 孤独な意識家の内省的な作品で、繊細な演奏に終始する。 ジャケットはこっちのほうがいいと思う。




Francois Tusques / Free Jazz  ( 英 Cacophonic 20CACKLP )

初めてレコードで再発になったとのことなので、昨晩仕事帰りにユニオンに寄って買った。 これは長らく聴きたいと思っていたけれど、オリジナルは
恐ろしい値段になるので、聴くのは無理だなと諦めていた。 

これは最高にいい。 チュスクは、やっぱり根っからのフリージャズ奏者じゃなかった。 これはどう聴いても、新しい感覚で演奏された普通のジャズである。
バス・クラ、サックス、トランペットの3管セクステットによるインテリ感の強い真っ当なジャズが展開されている。 なぜ、これがフランス初のフリージャズと
言われているのか、私にはよくわからない。 

音質もとても良好で、オリジナルがどんな音なのかはもちろん知らないけれど、これ以上のものを求める必要なんて特にないんじゃないだろうか。


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