廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

仏盤で聴く "A Portrait Of Thelonious"

2020年06月27日 | Jazz LP (Columbia)

Bud Powell / A Portrait Of Thelonious"  ( 仏 Columbia S 63.246 )


パリのスタジオでの録音だが、これはアメリカ盤がオリジナルということでいいだろう。ただ、家にあるのはモノラル盤で、ちょうどステレオ盤は
聴いたことがなかったので、まあいいかと拾ってみた。フランス盤にはモノラルプレスがない。

当然、元々はステレオ録音だろうから、自然なサウンドだ。品のいい適度な残響を纏っていて、良好な音場感。モノラルは芯のしっかりとした骨太な
音楽を聴かせるが、こちらはもっと演奏の表情が明るい。ピアノの演奏の中に映るパウエルのいろんな表情がよくわかる。こういうところがさすがの
コロンビアだろう。音楽をより音楽的に再生してくれる。

ベースの音もクリアで輪郭がはっきりしていて、サウンドの中に埋没していない。ドラムのブラシが擦れる雰囲気もよく出ている。それぞれの音の
分離がよく、見通しのいいサウンドだ。

アメリカ盤のステレオは聴いたことがないが、おそらく国籍の違いはあまりないんじゃないかと想像する。コロンビアは元々欧米各国に製造工場を
持っており、クラシックのレコードではそれぞれ意匠は異なっていても音質は均一な仕上がりだから、ジャズでもきっとそうだろうと思う。
コロンビアの場合は国の違いよりも、モノラルかステレオかの違いの方が重要になる。このアルバムはモノラルとステレオのそれぞれに良さがあり、
甲乙は付け難い。

これでバド・パウエルの公式なレコードはすべて聴いたことになると思う。全部が手許に揃っているわけではないけれど、コレクションを目的に
しているわけではないので、これで十分だと思う。どれを聴いても、この人の演奏には感じ入るものがある。ここに載せていない盤もまだ他に
たくさんあるので、機会があればまたぼちぼちと取り上げていく。


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