廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

RIP, Cecil Taylor、でも・・・

2018年04月07日 | Free Jazz

Cecil Taylor / Indent  ( 米 Unit Core Records 30555 )


このレコードは初版がプレスされた直後に火事でその大半が原盤と共に燃えてしまい、現存するオリジナル盤はごく僅かしか残されていない。
昔、そういう話を廃盤専門店(トニーだったか、コレクターズだったか)で聞いたことがある。 ただ、この手の話はどこまでが本当なのかはよくわからない。
当時はあまり出回っていなかったのかもしれないけれど、今はそんなに稀少だという印象もない。 海外のディーラーが日本人に高く売りつけるために
ねつ造した作り話だっただけなのかもしれない。

そんな訳で、昔は高くてとても買えるシロモノじゃなかったこの初版盤も、今では身近な存在になっている。 私もワンコインで買った国内盤のすぐ後に
適価の初版を見つけて、喜んで買い直した。 特に音がいいということもないけれど、愛聴盤だからこんなことが嬉しかったりする。 
そんな風に、私にとってのセシル・テイラーは、楽しみながらレコード漁りをする他の多くの好きな演奏家たちの一群の中の一人である。
音楽の素晴らしさだけではなく、レコード漁りの愉しさまで提供してくれる人だった。

一昨日、ブルックリンの自宅で89歳で亡くなったということで、残念だと思う。 ただ、だからと言って、今頃慌てて饒舌に語り出す気にもなれない。
このブログでもこれまで折に触れて彼の音楽を語ってきたし、それはこれからも変わることはない。 彼のカタログのまだ半分も聴いていないだろうし、
しばらくはゆるゆると続くであろうレコード漁りの日々の中で、セシル・テイラーのレコードとの楽しい出会いもまだまだあるだろう。 

RIP, Cecil Taylor、でも、私にとってセシル・テイラーの音楽は未だに現在進行形。 いつまでも私の中で鳴り続けている。



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