千一夜第3章第150夜 最近の読書17

2019-02-20 20:26:42 | 読書

2019.02.20(水)

最近読んだ本。記載するのは今回で17回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


1月25日の光市の冠梅園、広大な公園だがとても綺麗に整備されている。もう直ぐ梅も満開だ(2月16日から梅まつり開始)。

『面白いけど笑えない中国の話』 竹田恒泰著 ビジネス社 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月7日読了
寸評:本書は著者が毎週木曜日の20時から放送のニコニコ動画の無料番組「竹田恒泰チャンネル」をもとに書き下ろしたもの。先ず中国の一般的負のイメージ、中国製品はすぐ壊れる(原発など「冥途・イン・チャイナ」)、中国人は手癖が悪い(ホテルのTVを持ち帰るのは当たり前・泥棒猫のような偉大な中華民族)、人の迷惑は顧みない(自分さえ良ければ良い)、環境汚染(公害、PM2.5、川に豚の死骸18千匹)、GDP世界2位だが貧富の格差大(共産党大富豪資産950億円以上83人、爆買い)、言論の自由・報道の自由なし(ネットの閲覧制限あり)、少数民族の弾圧(チベット、新彊ウイグル)、中国戸籍制度(都市・農民)などなど揚げればきりがない。しかも中華人民も8割が共産党に否定的である。対外的には反日の政治利用(鬱積した体制への批判をかわそうとして)、人権抑圧国家のイメージが広がり国際社会から孤立、アジアの海に中華圏を築こうとする(領海・領空侵犯)、日本では尖閣問題、日本は領土問題はないとする(民王朝も1671年に日本領土と認めているし、1895年には日本も正式に領土として編入、公文書により明らか)、射撃レーダー照射など各国とも中国と付き合おうとは思っていない。中国4千年の歴史と自国の伝統・文化を誇るが、中国の歴史は王朝交代の歴史であり現中国は未だ半世紀程度のものでありチャンチャラ可笑しい。日本は1万年である。日本は近所付き合い程度の付き合いで十分と著者は結ぶ。

『5万両の茶器 新九郎外道剣(1)』 小杉健治著 光文社時代小説文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月8日読了
寸評:小普請組(200~3000石の無役の旗本が所属するが、失態等で降格してきた者も多い)の独身柴新九郎は、役に付こうともせず気ままな生活を送る。御蔵前の札差平戸屋の美人娘おきよが攫われたが、偶然におきよを救った新九郎は、茶器を巡る壮絶な争いに巻き込まれていく。人を斬るに躊躇なく、女を抱くに見境ない。まさに外道の剣客新九郎だが、痛快な物語である。一気読みした。シリーズ化されているようで、見かけたら続編を読みたい。

『日本がもっと好きになる神道と仏教の話』 竹田恒泰・塩沼亮潤著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月10日読了
寸評:神道、仏教の第一人者による対談である。古事記を中心に語られていくが、神道と仏教を抜きに日本の伝統精神を語ることはできない。本書はその本質に迫るべく垣根を越えて語らったものである。「戦いによらず統一王権を築いた天皇の独特さ」「統治を考える欧米人、調和を考える日本人」「日本人の心や生活を育んだ四季の変化」「豊かな山、豊かな海に恵まれるありがたさ」「日本人の生活の方が欧米人より宗教的」「八百万の神と様々な仏様」「仏教と神道の死後の世界」「神棚と仏壇が同居している日本の家庭」「子どもの人権というとんでもない話」「東日本大震災で若者が目覚めた」「日本が幸せになることが世界の幸せに繋がる」などなど61のエピソードでこの国の見方が変わる。神道と仏教を知ることは日本を知ることに繋がる。


1月25日は蝋梅が満開である。梅はバラ科で蝋梅は蝋梅科であるそうな。蝋梅はあまり綺麗だとは思わないが香りが良い。

『異類婚姻譚』 本谷有希子著 講談社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月11日読了
寸評:表題作は芥川賞受賞作、歴代受賞作からすれば「異類」かなと思った。嘗て専業主婦の孤独が浮上した時期があった。誰もが経験しうる夫婦の平凡な風景を、虚実の境界をいく物語に落とし込んでいる。表題作はある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いたという印象的な書き出しで始まる。夫婦はよく似て来ると言われるが、ここでは夫婦の在り方について、家族が他人に見える瞬間の恐怖、不穏な雰囲気を描く。そもそも「異類婚姻」とは、人間と人間以外の存在(動物など)が結婚するという昔話の類型を指す民俗学の用語である。「鶴女房」や「猿婿入り」などがそれにあたり、コントローラーは妻の手にあり、妻の賢さと夫のまぬけさが際立つ。本書に同時収録されている短篇、「トモ子のバウムクーヘン」「犬たち」「藁の夫」も類似しており、姥捨て伝説であったり、女房はこじらせ女であり、夫は身勝手な半面花や藁だったりどこか哀れで危ない。家族の末路を描いた作品かも知れないが、現代の民話という概念で読めば良いかも。

『コンビニ人間』 村田沙耶著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’19年1月21日読了
寸評:芥川賞受賞作。この作品も嘗て読んだことがない「異類」作である。近年の芥川賞は確かに変わってきている。が、著者は新人賞総なめの感さえある。実力派新人である。主人公は「普通の人生」を生きられない、もっと言えばマニュアル化して生きてゆくことができない。コンビニにおける無機質で完全にマニュアル化された、シンプル且つ合理的な世界の中でのみ働き生きて行けるのだ。コンビニという世界の中では圧倒的に輝いている主人公だが、普通に生きることを要求される社会ではカタワモノでしかない。社会は多様性に向かっていると言われるが、この小説では完全に内向きである。インフル罹患後の1冊である。

『管理職の本分』 高杉良著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月23日読了
寸評:高杉作品に外れは無い。それは自身をアルチザン、職人作家と称し徹底した取材と情報収集に基づいて書かれ、ドキュメンタリーとなっているからだ。実在の経営者から訴えられたり、時には元ヤクザのことを書いたらピアノ線を送りつけられ、マル暴から守る対象の「マルタイ」になったこともある。著者は「僕は反体制ではないけれど、反権力なんです。権力を笠に着る人は許せない」と言っている。さて、本作は、名門生保の「東都生命」の経営危機に、企画部副参事の友部陽平が苦闘する物語である。役員を無能呼ばわりするワンマン会長が会社を支配していたが、自主再建はもうできないと解るや、友部はそのワンマンの首を担保に主力銀行から3千億円の資金支援を引き出そうと画策したりする。しかし会社破綻は免れ無くなり、外資系生保との提携を前提とした更生計画が作られると、友部は保全管理人の下で働く管財人室長に任ぜられる。もう30年近く前になろうか、私はこの実話版を身近に体験し良く覚えているが、改めてその真相に迫れた訳だ。


1月25日現在、紅梅も満開に近い。梅まつりは2月中旬から。

『獅子の座』 平岩弓枝著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月29日読了
寸評:著者はS34年に直木賞を受賞して以来、半世紀以にも及び創作を続けている。私の年代だと「平岩弓枝」というと、TVドラマや芝居の脚本家というイメージが強い。特にS40年代には「旅路」「女と味噌汁」「肝っ玉かあさん」「ありがとう」「新平家物語」などのTVドラマがヒットした。小説でも現代物、時代物、歴史物、推理物など多種多様に何でもこなす万能作家である。本書は著者の円熟期の作品で、室町幕府の全盛期を築いた将軍足利義満の生涯を描いた作品である。著者は生家が神社ということも影響していると思うが、日舞、揺、仕舞、長唄、三味線、鼓、短歌など和風趣味で一貫しており、本作もやはり室町時代に観阿弥・世阿弥により大成された能に接したということもあり書いたものと思われる。この小説を読んでみて、膨大な資料を読みこなしたということは直ぐに解かる。歴史小説は創作し易いと柴練氏が言っていたが、この作品も断片的な史実を基に壮大な大河ドラマに仕上がっている。読み応えのある作品である。

『ようこそ、我が家へ』 池井戸潤著 小学館文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年1月31日読了
寸評:「半沢直樹シリーズ」や「下町ロケット」 がTVドラマ化もされ、著名な著者である。江戸川乱歩賞、直木賞、吉川英治文学新人賞など受賞している。本作は企業小説、金融小説、家族小説、更にサスペンス小説でもある贅沢な物語である。真面目なだけが取り柄の会社員・倉田は、ある夏の日、駅のホームで割込み男を注意した。するとその日から倉田家に対する嫌がらせが始まる。花壇は踏み荒らされ、瀕死の猫がポストに投げ込まれ、車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかる。執拗に続く攻撃から一家はストーカーとの対決を決意する。一方、銀行から出向先のナカノ電子部品でも、倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから窮地へと追い込まれる。身辺に潜む恐怖を描いた長編である。何にしても表題が奮っている。

『東京奇譚集』 村上春樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’19年2月4日読了
寸評:世にも奇妙な物語というTVドラマがあったが、不思議な出来事、奇妙奇天烈摩訶不思議な出来事、偶然の一致などという話は時々聞くが、そういった種類の出来事が著者の身辺で度々起こった。あるものは人生の在り方に多少なりとも変更をもたらす。またあるものは取るに足らない些細な出来事である。本編は、恐らく他人には信じてもらえないだろうが、取るに足らない些細な出来事の方だけを取り上げる5編の短編集である。偶然の旅人、ハナレイ・ベイ、どこであれそれが見つかりそうな場所で、日々移動する腎臓のかたちをした石、の見慣れた世界の一瞬の盲点に掻き消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語である。


1月25日現在、白梅も一部満開。

『江戸学講座』 講師山本博文・聞き手逢坂剛・宮部みゆき 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年2月5日読了
寸評:TVドラマで時代物が制作されなくなって久しいが、私は時代劇で育った世代である。特に今は亡き祖父が時代劇が好きだったので、映画やTVを私と二人一緒に観ていたということが大きい。しかし今や再放送で昔の時代劇が僅かに観られる程度で寂しいものである。そんな環境も影響してか、今でも時代物の小説はよく読む。そして本書のような時代考証的な著書も好きである。本書は東大史料編纂所教授の山本博文氏を講師に、直木賞作家の逢坂剛氏と山本周五郎賞・吉川英治賞作家の宮部みゆき氏が聞き手となる対談集のようなもの。武士と奥女中のサバイバル・ゲーム、治安維持と災害対策、旅と海外貿易をテーマとして語られる。知らないことが多く発見も多くあった。

『日本の覚悟』 櫻井よしこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年2月12日読了
寸評:権威におもねることも、大勢に身を任せることも、よしとしない。この国の在り方について、言うべきことは穏やかに、しかしピシャリと言う。櫻井よしこさんの「覚悟」はいつも決まっている。と安倍晋三首相が解説してる。昨年、私も光市で著者の講演を聞きに行ったが、全く同感である。第1章が大戦略で日米同盟を建て直せ、第2章が横暴国家・中国に迎合するな、第3章が民主党よ、現実を直視せよ、第4章が確かな言葉で「価値観」を語れ、第5章が国益を守り、国力を維持せよ、第6章が攻めの外交で進路を切り拓けの構成であるが、8年前の本であり民主党政権について語っている部分を除き、現在もなお色褪せていない。特に中韓の国是としての反日、国家戦略については詳しく解説されている。櫻井氏、竹田氏、百田氏のような論客がもっと育って欲しい。H31年2月10日の第86回自民党大会で安倍首相が演説した通り、「悪夢のような旧民主党政権に戻すわけにはいかない」のだ。石破氏のような生ぬるいことを言っているようでは次は無い。私なんぞは安倍首相の終身宰相を望む。亥年の参院選、負のジンクスを打ち破り、与党87議席獲得を目指して欲しい。

【2月20日過去の釣行記録】
・2011年第2埠頭東側、07:40~11:50、中潮、釣果=カレイ1・32cmアイナメ1

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません

・【旧暦1月16日釣行記録】
・2008年02月22日、柳井港防波堤、19:00~22:20、大潮、釣果=メバル14
・1993年02月07日、末武川河口、昼間、大潮、釣果=アサリバケツ一杯

http://blog-parts.wmag.net/okitegami/base.php?ser=36906&m=219b56b2lb68fdf326a81

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