2019.06.17(金)
梅雨の時季だから釣行も思うに任せられず、先月生まれた孫の守りに専念する。これがなかなか面倒だが娘の睡眠不足などを補っているのだ。自分の分野の投げ釣りも5月25日以降行っていないが、今の時季はカレイの食いも悪いしキスの釣果も近年良くない。娘と孫2人が家に帰る今月下旬までは、私の予定も立たない状況である。
さて今回は最近読んだ本、記載するのは今回で20回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。
6月1日、母の実家のビワを捥ぎに行く。木が大きくて下の方しか取れない。上の方は次週辺り、脚立持参でもう一度行こうと思う。
『万葉集で解く古代史の真相』 小林惠子著 祥伝社新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年5月24日読了
寸評:まず著者は、自身の歴史観、特に古代史観は常識とは大いに異なっているので、初めてこの本に接する人には理解不能な個所が多々あるのは当然と断っている。万葉集は史実の告発本であり、恐ろしい側面を秘めた歌集であり、記紀の記述を補う史書としてぼ役割を果たしている事実があると説く。著者の主な主張として①662年に始まる白村江の戦いで半島出兵した中大兄皇子(天智天皇)は百済の亡命皇子であり、大海人皇子(天武天皇)は高句麗の将軍であった。戦いに敗れた両者は倭国内で対立し、以後天智系皇子と天武系皇子の対立が続く。②新羅の文武王(文武天皇)は大海人の子であり、唐国に抵抗した父と共闘して反唐国の態度を終生堅持した。従って、唐国は天武系皇子の倭王即位を認めようとしなかった。③壬申の乱で天武朝が外国勢をバックに成立し、大津朝を経て、やがて持統朝の成立を見るが、持統天皇として即位したのは天智天皇の子、高市皇子である。以上のことを主張しつつ古代史を解明していくのだから堪らない。要するに、雄略天皇から敏達・欽明・舒明・孝徳・天智・天武天皇は三韓人だとし、もっと言えば倭国、三韓国両国の王を兼任しているという。他にも藤原鎌足、柿本人麻呂、高市皇子、聖徳太子、曽我満致、間人皇女らを朝鮮系1世とし、他に多くの2世をあげる。ここからの出発であるから、違和感、理解不能に陥る。しかし発想の転換、五行思想、古代朝鮮語読みなどで解く万葉集は、否定したいが、あながち大ぼらとも言えないかも知れない。
『我が闘争』 堀江貴文著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’19年6月3日読了
寸評:著者の半生記、自叙伝である。11章からなり、子供時代からライブドア事件までを振り返る。子供時代から優等生、小学生頃までは百科事典の虜になる。ここら辺りからして我々凡人とは違う。運動は苦手、天才であるが故に友人等と上手く付き合えない、協調性無し。中学生の頃からPCに夢中になりプログラミングもする。PC購入のため親から借金し、新聞配達のバイトで返済する。この経験が著者にとって大きな教訓となる。良い借金は進んでするべきだという考えである。ギャンブル漬けの東大生、やがて衝撃的なインターネットとの出会いがあり、ホームページの作成、個人での請負、起業、上場、M&A、六本木ヒルズ、プロ野球界参入、村上ファンド、TV局買収へと進む。ライブドア事件で一気に著名人となり連日TV、新聞を賑わす。私の印象は、当時TVで見たままの、高慢ちきで人に嫌われても媚びず我を通す性格だと今でも思う。天才であるが故に、また嫌われる性格であるが故に、無実の罪(著者は今でもそう思っている)を着せられる。知らず知らずの内に多くの敵を作ってしまったのだろう。出る杭は打たれるの法則である。しかし本書では赤裸々に自分を曝け出している。人物的には好きになれないタイプだが、宇宙事業を始めとしてやりたいことが沢山あるようだ。今後の著者の活躍を見守りたい。
『花世の立春 新・御宿かわせみ3』 平岩弓枝著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’19年6月7日読了
寸評:新・御宿かわせみシリーズ3弾である。維新後の江戸の御宿を中心に様々な怪事件が起こる。御宿のメンバーと町医者麻太郎、元岡っ引きの源太郎を中心に展開する推理物かな。6編の短編集である。私は気分転換にこの類の本を読む。
6月13日、第1回ツクヨミ杯優勝トロフィーである。夜の船釣り大会、メバル釣行で大荒れの笠戸湾でゲットした26.5cmのメバルで見事優勝した。
『アーク殲滅』 井沢元彦著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’19年6月11日読了
寸評:著者の本は多く読んでいるが、何れも歴史検証本である。アドベンチャー物を書くことは知っていたが、読むのは初めてである。本書は伊賀忍者の末裔、大和零が主人公である。シリーズの第4弾であるが、007のジェームス・ボンド、探偵ファイロ・ヴァンス、怪盗アルセーヌ・ルパンなどの特質を一身に集めたスーパー・ヒーローである。キャプテン・エルと名乗る男に、無差別の原爆テロを中止することを交換条件に、ある任務を強要された零、遺伝子操作による恐るべき計画を知り真相の解明に乗り出す。日本アルプスの麓からスタートする物語は世界中を目まぐるしく巡り舞台が変わる。神の領域とされてきた技を人間が手に入れた時の危機を描く。人類への警鐘を鳴らしている。
『アタクシ絵日記 某月某日』 山藤章二著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月14日読了
寸評:著者とは一度だけ会っている。と言ってもサイン会のようなものであるが・・・。四角いタイルにブラックの人物が描いてあり、人物の口の部分に吹き出しが付いていて、タイルを購入した人がその吹き出しに言葉を入れるのだが、その言葉を山藤氏がその場で書いてくださるというイベントである。私は「ハピネス・イズ・ア・ワーム・ガン」と入れて貰ったが、氏はちょっと考える風であったのを良く覚えている。当時、著者の似顔絵が好きで、ブラック・アングル、世相あぶり出し等5冊程度読んでいる。何れも45年近く前のことだ。若い頃は著者の絵、漫画が好きで当時は良く読んでいた。さて本書も1987年の文庫本であるから、もう32年前の本である。絵日記エッセイであり、登場人物もその当時の第一級の人たちである。似顔絵の哲理は、観察は冷静に、表現は大胆にということらしい。兎も角、著者の絵も文章も上等に面白い。但し、自筆で書いてあり、字も小さいので最近では非常に読み辛くなっている。
『アタクシ絵日記 某月某日Ⅲ』 山藤章二著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月17日読了
寸評:「オール読物」の巻頭を飾る名物カラーページの文庫化第3弾である。著者は現代の浮世絵師ともいわれるが、即応力が求められる時事ネタ専門の風刺画、つまり政事風刺を得意分野としている。この本は平成元年から平成2年の2年間の出来事が書かれているが、年数を経て読むのもまた楽しい。ああ、あの頃はこんなことがあったなあと想い出す。とは言え政事のことばかりでは無く、娘の結婚式のこと、阪神タイガース(熱心なファン)のこと、句会のこと等々非常に面白い。世相を独自の視点から斬るタッチは快調そのものである。Ⅱが無いのが残念だ。
6月17日の深夜に2人目の孫が誕生しました。
『定年待合室』 江波戸哲夫著 潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月20日読了
寸評:上司の逆鱗に触れ定年待合室に追いやられた大手百貨店の敏腕営業マン大和田は、妻のガン宣告を受け早期退職をする。しかし妻は2年後に亡くなる。彼は虚脱感にさいなまれるが、行きつけのスナックでママから仕事で困っている人の手助けを頼まれることから物語は展開する。自分に合った仕事が与えられず満たされない気持ちを抱えるメンバーと協力しながら、営業先とのトラブルや販売不振を解決していく。それを通して大和田も、活躍するメンバーも元気を取り戻すというストーリーである。この定年待合室にいる会社員は、その道のプロであるのに、会社からの評価や処遇で鬱屈を抱えている。殆どが中高年社員であり、会社員の誰もが抱える課題が随所に描かれている。そこがまたこの物語の幅を広げていると言えよう。
『世界地図から歴史を読む方法』 武光誠著 KAWADE夢新書 評価☆☆ ’19年6月25日読了
寸評:世界史を地図を手掛かりに見ていくと、これまで多くの民族の興亡があり、いくつかの大国が興り、滅んでいった有様が解る。そして19世紀末から民族問題に基づく多くの紛争が生じ、それが現在でも続いている。世界史を形作ってきたのは、民族の大移動や抗争の歴史である。各地域、各時代の民族たちはなにゆえにその土地で、激しい興亡を繰り返してきたのか。本書は「地図」という新たな視点を用いて、より空間的に民族の歴史像を捉え、世界史を読み直す本である。4月に「世界紛争地図」という本を読んでいるのでかなりの部分重複していた。はっきり言って眠くなる本である。良く読了できたと自分に感心した。
『斬りて候 ぜえろく武士道覚書』(上)(下) 門田泰明著 光文社時代小説新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年6月27日読了
寸評:著者の本は今回初めて手に取ったが、かなり面白い。”ぜえろく”は江戸者が上方者を嫌って言ったあざけり言葉とされているが、その裏には間近に朝廷を尊び仰げる上方者の圧倒的な商才、政治力に対する江戸者のどうしようもない苛立ちがあったようだ。主人公松平政宗、その正体は後水尾法皇の御落胤で、後の嵯峨宮武将親王である(上巻最後で法皇と対面し御名を頂く)。同心の源さんや料亭「胡蝶」の女将早苗らと親しくするが、それは様々な難解な事件を通して親密になるが、終盤には大どんでん返しもある。主人公と幕府との絡みで生死を掛けた戦いをしていく。映画化したら最高に面白そうである。著者は取材調査型の作家とのことだが、東京に住んでいて江戸初期の京都を書くのだから、小説に登場する地や建物など全てを足で歩いての取材と聞くが大変な労力だったろうと思う。
6月20日に当選したオリンピック観戦通知。
『親鸞 救いの言葉』 山崎龍明監修 宮下誠著 ナガオカ文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年7月1日読了
寸評:善と言われるものが果たして本当に善ばぼか、正義とされるものがその名の下で多くの人々を傷つけていることをどう考えたらいいのか。このような混迷の中で親鸞のことばと思想は我々に多くの示唆を与えてくれる。本書は、親鸞の著述である「教行信証」「歎異抄」(唯円編)「三帖和讃」「消息集」などから魅力的な教えや文言を取り上げ、集めた珠玉のことば集である。親鸞の根本思想である「他力」「念仏」といった教えの持つ今日的意味をやさしく、かつ鋭く解明している。我が家も浄土真宗であり、この本は親鸞入門書でもある。
『悪魔転生』 井沢元彦著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’19年7月3日読了
寸評:この本はレイ・ヤマトシリーズの第2作である。最初に読んだのが第4作の「アーク殲滅」だった。読む順番がバラバラになったが、どこからでも読める。このシリーズの大きな特徴は、複製技術(クローン人間作製)を駆使して世界を支配しようとする幻の大富豪ハワード・ジェンキンスの悪魔的な野望に対して、それを阻止しようと戦う最後の伊賀忍者レイ・ヤマトの死闘を描く。このシリーズは’82年8月に始まったが、当時としてはこういうテーマを取り上げることは斬新的で時代を先取りした要素があった。また、SFアクション小説とも銘打たれているだけに、このシリーズの最大の魅力はスーパー・ヒーローであるレイ・ヤマトの不死身の大活躍である。
『迷宮決戦』 井沢元彦著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’19年7月4日読了
寸評:著者のSF活劇アドベンチャー、忍者レイ・ヤマト・シリーズ第3作である。読む順番がバラバラになったが、それでも十分に楽しめる。このシリーズはSF小説であり、アクション小説、冒険小説でもある欲張ったエンタメ作品である。SF小説といっても30年も前に書かれたものだが、クローン人間再生は今や現実のものとなりつつある。非常に面白い。第1作以外全部読んだことになる。
【7月7日過去の釣行記録】
・2007年櫛ヶ浜港防波堤、20:00~00:20、小潮、釣果=チヌ5・ワタリガニ1
【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。
http://blog-parts.wmag.net/okitegami/base.php?ser=36906&m=219b56b2lb68fdf326a81